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こんにちは。
 いつもお越しいただきありがとうございます。
 
 この書評blog、書く対象を選ぶのも実際に書くのも結構大変で、週2更新はきついだろうなーと、考えていました。
 しかし、私は結構前から書評文書を書いてきてるので、時々それを加筆訂正して再放送することで、お茶を濁させていただきます。

 と、いうわけで、今回は、2005年9月に書いた、「村上龍(ドラゴン)の世界」です。
 村上龍の著作数作および、村上龍の世界観について話をしています。これを書いた4年後、村上龍が言ってたような世界になってますね・・・。

前編は、書評ってより、本の紹介になってます。
 では、どぞー。


「必ず新しい階級社会が生まれる。
努力しなかった人、訓練を何もうけていない人、技術が何もない人、コネクションが何もない人、醜い人、才能がない人、頭が悪い人、そういう人たちは最低の人生を生きるようになるだろう。
恋愛が出来るのも限られた人だけになるはずだ。
わたしは、それがしょうがないことだと思っている。」
村上龍 誰にでもできる恋愛 より

この文章は、彼がここ数年間言い続けている、ドラゴニズム(龍イズム・私の造語)のひとつの要素を表す文章です。

ドラゴニズムが、一番に提唱しているのは「自立」です。

つまり、人間はそれぞれ個人個人が、一人で生きていける力を持たねばならない。ということ。
それは、経済的にも、精神的にも。

彼の最近の小説も、多くがこの「自立」をテーマにしています。

■愛と幻想のファシズム
愛と幻想のファシズム〈上〉 (講談社文庫)愛と幻想のファシズム〈上〉 (講談社文庫)
(1990/08)
村上 龍

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愛と幻想のファシズム〈下〉 (講談社文庫)愛と幻想のファシズム〈下〉 (講談社文庫)
(1990/08)
村上 龍

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「狩り」を行うことにより、生物として自立した(自分で自分の餌を狩ることができる)主人公、鈴原冬至が、独裁政党を作り上げ、実質世界を支配している企業連合から独立していくお話。
冬至に依存している剣介が、狂気に陥るのが印象的。
ちなみに、エヴァンゲリオンのなかにトウジとケンスケという人が出てくるが、精神的に自立しているトウジは非常に辛い運命を背負うことになり、これといった依存も自立もないケンスケは平和に時を過ごしている。

■希望の国のエクソダス
希望の国のエクソダス (文春文庫)希望の国のエクソダス (文春文庫)
(2002/05)
村上 龍

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教師に反乱を起こした中学生が、インターネットを使った商売で経済的に自立し、やがて、独自通貨まで作り上げ、国家からも独立していくお話。
この中で、中学生たちは「リーダー」というものを作らず、全てフラットな形で組織を作っている。つまり、彼らの組織の中に、他の人に依存している人間を作ることを許していないのである。
60年代の安保闘争やぼくらの7日間戦争と大きく違うのは、これらが明確なビジョンを持たずに、いたずらに独立だけ求めているのに対して、この中学生たちは、独立宣言の後、どうやって自分たちだけで生きていくかのビジョンを持ち、それを実行に移したと言うこと。

■最後の家族
最後の家族 (幻冬舎文庫)最後の家族 (幻冬舎文庫)
(2003/04)
村上 龍

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親父はリストラ(配置転換ではなくファイヤーed)、息子は引き籠もり(ヒッキー)という家族。この家族の一員がそれぞれに自立していくことにより、それぞれが復活していくお話。
リストラされるサラリーマンには会社からの自立、専業主婦には配偶者からの自立、子供たちには親からの自立をそれぞれ促している。
それぞれが自立しているからこそ、それぞれが負い目なくつき合っていくことができるのである。


日刊ゲンダイのように、闇雲に「だめぽ!だめぽ!」と騒ぐのではなく、どこの、何がだめなのかを、小説の中で浮き彫りにし、登場人物にそれに対する解決策を必死に探らせることにより、読者に未来への指針を与えようとする小説たちです。

この姿勢はその後形を変え、「13歳のハローワーク」や「JMM『村上龍、金融経済の専門家たちに聞く』」などにつながっていくわけです。

 彼なりに未来の日本に対して贈れるモノは何かと考えて作った本。
 それが、この「13歳のハローワーク」
13歳のハローワーク13歳のハローワーク
(2003/12/02)
村上 龍

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この本は、「大きくなったらなんになる?」と言われて「公務員」などと答える小中学生に向けた本です。
なんでこんなことを答えるようになったかを考えると、大人も子供も世の中にどんな職業があるか知らないからではないかという仮説にたどりつきます。

絵が大好きな小学生。彼も、それなりの歳になればいやがおうにも画家や漫画家への道は限りなく狭く厳しいということを学習してしまいます。
そのリスクを考えると、いっぱい勉強してローリスクの公務員になった方が。。などと考えてしまうのも自然だと考えられます。
親も、「一流大学→一流企業」の物差ししか持っていなければ、絵に特化した教育を与えた子供が大人になってどうなるかを想像できず、不安になり、一生懸命止める方向に動いてしまいます。

しかし、「絵が好き」な人は、画家や漫画家になる以外も、「編集者」や「グラフィックデザイナー」「コーディネーター」や「イラストレーター」などの職業があるとわかったらどうでしょう?

自分の好きな絵やデザインをもっと勉強する気になるでしょう。
親も、ある程度の見通しを持って、そのために美大に行く、留学してデザインを学ばせるなどの投資を選択肢のひとつとして考えられるでしょう。

そんな風に、新しい知識を人が身につけることよって、仕事の選択肢を増やす。
結果的に、自分のやりたいことを仕事にする人を増やし、仕事を楽しむ人を増やす。

そんな意図のもと作られてるのかなと思います。
純粋に、職業図鑑として読んでも楽しいですが。

村上龍の世界 (下)に続く。
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