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先々週に書こうと思って、いろいろあって放置してたのが、漫画「岳」。
 山岳救助隊について描かれた、ほぼ一話完結式の漫画です。

岳 (1) (ビッグコミックス)岳 (1) (ビッグコミックス)
(2005/04/26)
石塚 真一

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 で、この漫画、小栗旬と長澤まさみで映画化が決定しました!

岳

小栗旬:映画「岳」に主演 ヒロイン長澤まさみは髪をバッサリ 3000メートルの雪山に挑む

 写真の洋服が新品感あふれていて、泥臭い原作とまったくあっていないのがすごく気になります。
 背景の山も、ものすごく白すぎて、CG合成感あふれまくってるし・・・。

 あまり期待しないで、かつ、たぶん観に行かないと思います。

 と、いうのは、この漫画の素晴らしい点は、山岳救助隊の活動をリアルに描いていることです。
 リアルさのひとつに、「山では人が死にまくる」ということがあります。

 2008年度日本での遭難事故は1631件、死者・行方不明者は281人。
 膨大とまではいいませんが、たくさんの人が命を落としています。

 この漫画で描かれる遭難事故では、約半分くらいの確率で死者がでます。

 吹雪にあい、方向感覚をなくしどこにも行けなくなる人。
 崖から落ち、足を切断し、失血死する人。
 落石により、頭蓋骨骨折で亡くなる人。

 その残酷な死が、淡々と描かれます。

 この、ピカピカの洋服を着た美形の二人と、地肌の茶色や陰の青が見えない真っ白な山からはとても想像できない、死という現実。

 ただ、この漫画の最も素晴らしいところは、残酷さの表現ではありません。

 そんな、残酷な一面を持っている山を愛している人々。その人たちが、山と山を登る人たちに送る暖かさ。

 これが、この漫画の主題です。

 主人公の、ボランティアの山岳救助員は、山で見つけた遭難者に、必ずこういいます。
「よく頑張った」

 それは、遭難者が生存していても、亡くなっていても一緒です。
 死にそうな目に遭って、やっと見つけた遭難者が、ただの打撲であったときも、自分がいろいろ犠牲にして何とか見つけ出した遭難者が、背中で力尽きたときも、一緒です。

 そして、遭難者が無事に救助され、ヘリコプターで山を下りていくときに、こうやって声をかけます。

「また、山に来てね」

 また、山に登ることの素晴らしさは、それほど押しつけがましく描かれることはありません。
 登る人それぞれに、いろいろな理由はあるのですが、それは、頂上から観た山の風景や、そこにいる人々の表情を中心に描かれているものばかりです。

 残酷さをリアルに、素晴らしさをさりげなく。

 出来そうでいて、なかなか出来ないこのバランスの素晴らしさ。
 疲れることが大嫌いで、リフトがない山に登るのは絶対嫌な私でも共感してしまうのは、この絶妙なバランスによるものだと思います。


 そして、主人公の「よく頑張った」と「また、山に来てね」
 この二つの台詞の素晴らしさ。

 私は、この二つの台詞は、「国が個人にしてほしいこと」そのものだと感じました。

 例えば、日本国民。
 一億数千万人が、好む好まざるに関わらず、この国に住んでいます。
 この国のなかで、たくさんの素晴らしいことを経験するのと同時に、ひどい目にもあっています。

 働けど働けど生活は苦しくなり、生きていくのが日々辛くなったり、
 様々な困難により心を病んで、死にたくなったり、
 一生懸命仕事をしてたくさん金を稼いだのに、税金や理不尽なルール変更でごっそり持って行かれたり。

 そんなときに、一番して欲しいことは、「よく頑張った」と手を差し出してもらうこと。
 
 この漫画の中では、酔狂なボランティアである主人公と公務員である山岳救助隊がこの役目を担ってくれます。
 給料は少額の謝礼金のみで、命がけで山を捜索してくれる人間はそんなにたくさんはいません。
 山岳救助隊は予算が限られており、ある程度以上の捜索は、隊員の個人的ながんばりに支えられています。

 日本の国は、金がたくさんあるころは、おだやかな夏山のように、遭難者も少なく、救助活動も比較的簡単でした。
 また、そこに登りたがる人もたくさんいました。

 しかし、世界全体の格差が縮まるに従って、段々冬山になってきて、その厳しさを増してきました。
 登りたがる人の数も減ってきています。

 そんななか、必要なのはどんなことでしょうか?

 多額の予算を公共投資に突っ込み、山道やリフトを作ること。これは、もう充分やってきたでしょう。これ以上便利にしても、登る人が減っているのはどうしようもありません。

 それよりも、遭難した人に「よく頑張ったね」と手をさしのべること。
 つまり、生活困窮者にとりあえずの水と食料と応急処置を施すこと。そして、病院に運び、怪我を治し、社会復帰への道筋をつけてあげること。

 そして、そんな風に税金を使って助けた人たちに「また山に来てね」つまり、また日本で素晴らしい経験をしてね。とポジティブに応援すること。

 そんなことを地道に続けていけば、日本に住もうという人は少しずつ増えていくのではないでしょうか?

 日本という山は、これからどんどん気温が下がり、天候は荒れ、登りにくい山になっていくと思います。
 そんななか、少しでも登山者を増やすために、バスを増便したり、入山料を安くしたりすることも必要です。

 しかし、それ以上に、ある程度遭難するということを想定した上で、遭難した人に希望を持ってもらえるような救助制度を作る。

 限られた予算の中で優先して行うべきはそんなことではないかと思うのです。

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