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こんにちは。
 めでたく小沢健二コンサートのチケットがとれたので、その記念に公式サイトの彼の文章から、いろいろ妄想しようと思います。

 前回の小説「さらば雑司ヶ谷」の中で、他人にも自分にも一切なにも期待していない「絶望大王」タモリに、唯一「これほどまでに人生を肯定できない」と言わしめたアーティストとして、むやみやたらとリスペクトされた小沢健二。

 しかし、彼は彼で、「絶望大王」的な側面がある人でした。

「幸福の王子様」の二十代を過ぎ、分別も付いて年を取り、「ある光」という、自分の心の中を見つめるような曲を書いたあと、一気にじじいの様に老け込みます。
 そして、このあと、マスコミの表舞台に一切姿を見せなくなります。

 多くの人が存在を忘れかけていた頃に発売したアルバム「Eclectic」では、「幸福の王子様」っぷりはすっかり陰を潜め、ぼそぼそと退廃的に歌う曲調にファンは混乱させられました。

 このアルバムのプロモーションもほとんど行わず、再び姿を消した彼が再び姿をあらわしたのが、小沢父が出している限りなく同人誌に近い雑誌「子供と昔話」の中での小説「うさぎ!」

 この小説の中では、現在の資本主義社会に対する批判を語っています。

 金を稼ごうという欲望(文中では「灰色」と表現)によって世界が覆われつつあること
 その灰色によって、 広告収入やライセンス料というしがらみが出来、自分の好きな表現をすることも、自由にできなくなる。
 「豊かな国」でお金の塊が大きくなりすぎたので、ものを作る仕組みを「貧しい国」に移すことにし、「豊かな国」では仕事がなくなり、若者がなまけているといじめられるようになる。「貧しい国」では、子どもたちが少ない賃金でへとへとになるまで働かされるようになる。
 そんなことを、書いています。

 これを書いていた時点で彼は、「貧しい国」であるボリビアや南アフリカにいたようです。
 それも、もりぞおさん見たいにちょこちょこ回っていたわけではなく、数ヶ月に渡る滞在で。

 この小説は、彼の中の「絶望大王」が書いたのでしょうか?
 彼は、現在の「灰色」がはびこる先進国の社会に絶望してしまったのでしょうか?

 その後、彼が謎のドキュメンタリー映画の上映会を、ネットでの告知を一切せずに、各地を転々としながらやっていたという情報を断片的に聞くにつれ、私はさらに「絶望大王」の存在を感じるようになりました。

 フリッパーズ時代に「知る人ぞ知る、新世代渋谷系アーティスト」として一部で名を馳せ、
 オザケン時代に「幸福を呼ぶ渋谷系王子様」としてテレビの中で大ブレイクをし、
 テレビとマスコミの表も裏も、そのまわりに起こる素敵なことも醜いことも知り尽くしたあと、その状況に疑問を感じ、それがいつしか絶望に。

 だから、テレビとは遠く離れた、伝搬力もなく金も動かない、自分の手の届く範囲の人だけにものを伝えるような、そんな世界に引きこもってしまった。

 私が勝手に作ったストーリーがコレです。

 しかし、今度のコンサートツアー。そしてそれに伴ってWebで発表された文章を読んで、半分は正しいけど、半分は全然違っていたことがわかりました。

 彼は文章の中で、こんな事を言っています。

 今回のコンサートは、CDのアルバムを売るためのコンサートではない。
 音楽業界では、CDアルバムを売ることを中心に全てが回っているが、今回のコンサートは、コンサートの本来の性質通り、公演そのものを目的として行われるツアーです。

 だから、関係者招待席も少ないし、メディア関係者の取材も制限している。

 そういうことか。
 今、多くのエンターテイメントでは、本来の性質通りお客さんを楽しませること以外にやらなくてはならないことがたくさんあります。

 テレビでは、CMを見せるために、面白くなるタイミングで話がぶち切りになり、続きはCMのあとで!
 映画では、観客を呼ぶために、人気がある駄目俳優を無理矢理主役にねじ込んで、台無しなる

 「灰色」によって、エンターテイメントの中で、「客を楽しませる」ということに、直線的に向かっていけない「大人の事情」がたくさん生まれてしまったのです。

 そんな中で、彼がやろうとしていることは、
 小さな舟で、従来型のモデルをさほど気にせずにコンサートを行う。ということ。

 そして、そのコンサートの空間を「愛に満ちた空間」書いています。
 憎しみではなく、密かな連帯感とか愛に満ちた空間。
 そして、その貴重な空間の中で感じたことを、その後の人生の中で、少しずつチョコレートを削ってなめるように、大切に削りながら毎日をくらしていけるような思い出を作れる空間。

 何かと忙しくて、殺伐としている空間。エンターテイメントの世界すらそんな空間で充ち満ちている。
 そんな中に、ちょっと違った空間を作る。

マイケルの言葉を借りれば、
 Make a little space, Make a better place. (小さなスペースを作ろう。もっとよい場所を作ろう。)

 村上春樹が言うところの「システム」。みんながその中に生きており、その恩恵を受けているけれども、同時に嫌だとも思っているモノ。多くは「灰色」が作ったモノ。

 それに絶望するのではなく、小さな場所、自分の声が届く範囲を変えていこうというメッセージ。
 やはり、彼は「絶望大王の前で人生の肯定を紡ぎ出してみせる、幸せの王子様」の様です。

 さて、コンサートの空間は、どんなことになるのやら。
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