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忘年会が始まるのが8時過ぎ。
 労働時間を減らすことに心血を注ぐもりぞおさんにはちょっと遅い時間。
 しかし、都合がいいことに、飲み屋のすぐそこに映画館があり、6時からカールじいさんがやっていました。

 ファインディングニモが大好きなもりぞおさん。
 この作品を作ったPIXARの最新作であるということ以外、カールじいさんについての前提知識はありませんでした・・・が開始十数分でぶっとびました。。。

 カールじいさんとエリーばあさんの出会いから別れまでがつづられる冒頭の十数分。

 このシーンの中で、子供時代を過ぎてから、台詞はほとんどありません。
 ふたりの数十年の生活が、映像と音楽だけで淡々とつづられていきます。

 「冒険」という名の夢を持っていたこと
 二人で仲良く暮らしていたこと
 子供が作れないことがわかって悲しむこと
 「冒険」のためにお金を貯めていたこと
 人生のいろいろなアクシデントでうまくいかなかったこと
 それでも、楽しく慎ましく、歳を重ねていったこと
 そして、エリーばあさんの死で、二人が離ればなれになってしまうこと

 そのそれぞれの、楽しさと、悲しさが、そしてそれが積み重なっていった素晴らしい人生が、たった十数分のアニメーションと音楽だけで、これ以上ないくらいにしっかりと伝わってくるのです。

 そう、アニメーションと音楽だけなのです。

 実写映画では演技をする人が人生を表現します。
 アニメ映画でも声優の声が表現の重要な役割をおいます。
 しかし、この映画では、人の姿も声もなしに、コンピュータグラフィックの映像と音楽だけで、これほどまで深く、二人の人生を描いているのです。

 素晴らしい。

 トイ・ストーリーでは「おもちゃ」。ファインディングニモでは「魚」。
 これらに人格を与えて、人の人生や成長を描いてきたピクサーが、
 ダイレクトに、「人」を使わずにCG製の「人間」に人格を与えて、人の人生を描くという冒険に出たのです。

 我々は、歴史的な冒険の目撃者かもしれません。

 そして、じいさんも冒険に出ます。
 あまりにもカラフルで美しく、CG的な、大量の風船をくっつけた「空飛ぶ家」で。

 向かう先は南米!
 エリーばあさんとの夢であった、パラダイスフォールの上に家をつくるために!

 実際の世界にあるのは、ギアナ高地のエンジェルフォールです。
 そして、このギアナ高地で繰り広げらっる奇想天外なアクション!
 CGで描かれるアクションは、ものすごく美しく、エキサイティング!
 話の展開なんて気にしない!
 でも、犬やじいさんの生態がうまいこと入った、所々に繰り広げられるネタは文句なく楽しいです。

 展開は大味なのですが、前述の十数分のあまりにも繊細なじいさんの描写が下敷きになっているので、じいさんのがんばりに、必死で感情移入してしまうのです。

 過去の静と、現在の動。

 静かだけれど楽しい生活が、ばあさんの死によって終わりを告げ、
 その生活の残り香を残すためだけに、止まってしまうかと思われたじいさんの人生。

 それが、カラフルな風船と、バカでデブなガキと、じいさんとばあさんがずっともっていた冒険心によって、この上なくエキサイティングなアドベンチャー、新たなる人生の始まりになったのです。

 別れは出会いの始まりであり、失敗は成功のスタートライン

 アメリカの失業率は10%を超え、日本でも多くの人たちが労働者としての自分の人生を否定されている状態です。

 カールじいさんも、定年で仕事はなく、最愛の妻も亡くし、最後の思い出と財産である家までも失いそうになります。

 でも、風船をつけて、若い頃の冒険心と妻との約束だけをたよりに、新しい人生を踏み出すのです。

 なんか、すごくうれしくなる話です。

 冒険の楽しさ、思い切ることの気持ちよさ。
 私が、世界一周紀行で描きたかった多くの感情が、この映画で表現されてるんです。

 いくつになっても、旅に出る理由がある。

 私は、今、猛烈にギアナ高地に行きたくなっています。
 その前に、3Dで映画を観るために、再び映画館に行くと思います。
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