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もりぞおさんは、世界旅行中はアクセス数とかあまり気にしなかったのですが、書評に移行してからちょこちょこ気にするようになりました。

 で、最近は、制作費50万円の映画雑誌kamiproロッテ愛甲の自伝、と、思いっきりマイナー路線を突っ走って見たのですが、スーパーメジャーマイケルジャクソン3部作と比べて、明らかにアクセス数が減っています。。。

 こういうところで、格闘議界が抱えるジレンマの超縮小版を感じてしまうわけですが、じゃあ、メジャーなのを書けばアクセス数が増えるのか?という疑問がわいてきます。

 そう考えて本棚を見ると・・・メジャーな本が全然ない・・・。

 私の中では、上杉隆とか冷泉彰彦とか山口絵理子とか、メジャーの箱に入ってるんだけど・・・絶対ずれがあるもんなあ。。と、思ったら、ありました。

 2009年のベストセラー。「1Q84」
 この本の方が、明らかに理解が難しいし、癖があるし、値段高いし、無駄に分厚いし。。。

 と、いうわけで、もりぞお世界書評メジャー化週刊ってことで、「1Q84」を取り上げてみようと思います。

 ああ・・・書いちゃった・・・。明らかに私の手に余るような重い本なのに・・・。村上春樹で文章を書くのはできるだけさけてきたのに・・・。

 と、いうわけで、まずは1Q84を読み解くのに必須の公演について書いた文書をお読みください。
 2009年2月。まさに1Q84執筆中にエルサレムで行われたエルサレム賞授賞式で行ったスピーチです。
 このスピーチの内容が1Q84のメインテーマだと私は考えています。

 で、この文章は、もりぞおさんが1Q84読む前に、エルサレム市内で書いた文章です。
 どぞ。


聖地エルサレム旧市街。
 ここは、高い壁に囲まれた町です。
壁


 高い壁の中には、いろんな宗教のいろんな人種の人が住み、いろんな国の観光客が訪れ、いろんな宗教、宗派の建造物が建ち並んでします。

 壁の上を歩くことも出来るのですが(有料)、町の地区ごとで、住人や建築様式が全然違うことがよくわかります。
町

 そして、この建造物や、土地そのものを争い、数々の国の数々の宗教の人たちが戦争を繰り返し、未だ、その戦争は続いている。そんなところです。

 我が国が誇る、偉大な小説家、村上春樹は、このエルサレムの名を冠する賞、「エルサレム賞」を受賞しました。

 折しも、イスラエルがパレスチナ自治区のガザ地区を空爆した直後。
 多くの人が、この空爆に反対しており、村上春樹もこの賞を受けるのかどうか、動向が注目されていました。

 結論から言うと、彼はこの賞を受けました。
 そして、エルサレムに赴きました。
 そこで、彼は、彼なりの言葉で、この空爆を辛辣に批判しました。

 そのスピーチの全文はここで読めます。
村上春樹: 常に卵の側に

 スピーチの内容は、この一つの文章に要約されています。
「高く堅固な壁と卵があって、卵は壁にぶつかり割れる。そんな時に私は常に卵の側に立つ」

 この比喩の内容を、スピーチの中でこのように説明しています。

この暗喩の意味とは?ある場合には、まったく単純で明快すぎます。 爆撃機(bomber)と戦車とロケット弾と白リン弾は高い壁です。 卵とは、押しつぶされ焼かれ撃たれる非武装の市民です。これが暗喩の意味するところのひとつです。 しかしながら、常にそうではありません。より深い意味をもたらします。こう考えて下さい。私たちはそれぞれ、多かれ少なかれ、卵です。 私たちそれぞれが壊れやすい殻に包まれた唯一無二のかけがえのない存在(soul)です。 私にとってほんとうの事であり、あなたにとってもほんとうの事です。 そして私たちそれぞれが、多少の違いはあれど、高く固い壁に直面しています。壁には名前があります。 それはシステム(The System)です。

システムはもともと、私たちを護るべきものですが、ときにはそれ自身がいのちを帯びて、私たちを殺したり殺し合うようしむけます。冷たく、効率的に、システマティックに。

 村上春樹は、イスラエルという国を批判しているのではありません。
 もちろん、徴兵され、空爆を実行した若いイスラエル人兵士を批判しているのでもありません。
 彼の批判の対象は、空爆することを指示した「システム」です。

 このシステムは、法律であったり、宗教であったり、国民の「総意」であったり、「常識」であったりします。
 
 我々は、いろんなことを「あたりまえ」だと思っています。

 金曜の夜から土曜の夜までは安息日だから、バスを運行してはいけないことも、
 ラマダンの月は、日が出てから日が沈むまで食事をしてはいけないことも、
 会社に任せられた仕事を終わらせるためなら、深夜まで仕事をしなくてはならないことも、
 
 ユダヤ人は劣勢民族なので、地球上から浄化しなくてはいけないことも、
 イスラム教徒は「神」の存在を貶める邪教徒なので、排除しなくてはいけないことも。

 別の場所に住んでいる人から見ると、狂っているようにしか見えないもの。
 しかし、そこに住んでいる人から見ると、越えられない、越えてはいけないもの。
 それが、「壁」であり「システム」です。

 そして、「卵」である我々は、壁の前には無力です。
 多くの「卵」は壁にぶつかったら割れてしまいます。
 自分たちで作った「壁」なのに。

 そして、いつしか「卵」は、壁にぶつかることを恐れ、「壁」があることが邪魔だと思うことがなくなっていきます。
 たとえ間違っていることがうすうす分かっていても、あたかもそれがないモノのように、「壁」の前に来ると、無意識にくるりと方向転換をしてしまうのです。

 彼のスピーチは、「壁」そのものに対する批判であり、その「壁」を強固にするこの「無意識の無関心」に対する批判であると感じました。

 これはイスラエルだけの問題ではありません。
「過剰報道で視聴率経由で自分たちの給料を稼ぐ卵たち。盲信して過剰反応する卵たち」
「会社の意向を絶対視して過剰労働を強制する卵たち。それを無批判に受容する卵たち」
「国債を発行することにより無尽蔵に出てくる金を使って、自分たちの懐に入れる卵たち。それを批判することなく忘れ去る卵たち。」

 その他、「壁」を作る「卵」たちと、それを無自覚に受容する「卵」たちに対して、少なくとも自分は「壁」の存在に常に疑問符を持ち、場合によってはそれに立ち向かう「卵」であるぞ という宣言であったと思います。

 物理的に壁に囲まれているエルサレムの真ん中で、
 象徴的な意味の「壁」が強固として存在しているエルサレムで、
 「壁」がミサイルを発射し、「卵」を壊しまくっているエルサレムで、

 このようなスピーチをした村上春樹は、やはり偉大な「卵」であると、心から尊敬します。

 そして、壁に向かって祈る、イスラエルの正当派ユダヤ教徒。
祈り
 彼らはいったい、何を祈るのか・・・。

 村上春樹の小説の中では、この象徴的な意味の「壁」が数多く出てきます。
 中でも「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」では、この「壁」が色濃くでてきますので、このスピーチに興味を持った人は一度読んでみてください。

 で、次回、「書評 1Q84」に続きます。水曜更新予定。ホントに書けるか不安だ。

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