上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
Check
 前回に続いてマイナー路線。kamiproこと紙のプロレスです。
kamipro No.141(エンターブレインムック)kamipro No.141(エンターブレインムック)
(2009/11/24)
不明

商品詳細を見る


 プロレスとタイトルが付いている雑誌ですが、プロレスの記事はハッスルが潰れそう特集くらいで、格闘技の話題がほとんどです。

 最大の特集は、ストライクフォースというアメリカの格闘技を、青木真也という日本のトップファイターの一人が観に行くというもの。

 日本の格闘技には、有名なPRIDEというものがあったのですが、UFCというアメリカの団体に買収され消えてなくなってしまいました。
 PRIDEは当時、世界で最も有名かつ最高峰の選手がそろう、格闘技のメジャーリーグだったのですが、あっさりアメリカの団体の軍門にくだってしまったのです。
 なんで、こんなことが起こってしまったのか。
 これは、アメリカと日本のエンターテイメント産業の成り立ちに大きな原因があります。
 そして、たぶん、日本のいろいろな産業の弱点になっているものです。
 ちょっとその構造を考えてみましょう。

 上記の記事の中にある青木真也という選手は、日本国内でしか試合をしていない選手。
 関節技の技術は世界屈指と言われている選手で、日本で一番大きな団体、DREAMライト級チャンピオンです。

 この、青木選手の顔を知っている日本人がどれくらいいるかはわかりませんが、彼がアメリカの格闘技の会場に行ったとき、周りはものすごい騒ぎになったそうです。

「エイオキだ!エイオキだ!」
 
 もちろん、格闘技の会場だから知っている人が多いわけですが、まだアメリカで一度も試合してない人間がこれだけ知られているというのが、アメリカのマニアのすごさです。

 以前、NY在住のアメリカ人の友人に「アメリカでは今、どんなことが流行ってるの?」と、聞いたところ、「NYに流行なんてないよ。みんなが自分が好きなことのマニアなんだから」と、言う答えが返ってきました。

 アメリカの格闘技の収益の一番の稼ぎ頭は、ケーブルテレビによるペイパービューです。
 アメリカでは、格闘技の試合を当日生中継で見るのに4000円ほど金を払わねばならないのですが、最大手のUFCという団体の試合は、場合によっては数十万件の申し込みがあります。
 それだけで収入は二桁億円となるわけで、莫大な収益の一部は選手に還元され、それを目指して、多くのスポーツエリートが格闘家としてアメリカを目指す。
 そうやって、競技としてのレベルがどんどん上がっていきます。

 そして、数千円の金を払って試合を見るようなマニアたちですから、そのレベルの高さを充分に理解しています。
 競技としてのレベルの高い試合を見ることで、よりいっそう競技にのめり込んでいく。払う金も増える。
 見事な正のスパイラルになります。

 翻って、日本の格闘技はどうでしょう?
 一番の稼ぎ頭は、地上波テレビの放映権料です。ゴールデンタイムの放送なら数億円が動くと言われています。
 
 それ故に、試合の出場選手の選定や演出にはテレビ局が大きく口を出してきます。
 解説席に頭の悪そうな、何ひとつまともなことをしゃべらないアイドルが置いてあったり、格闘家としてのスキルは低いが人気はあるので毎回試合に出てくるような選手がいるのはそのためです。

 テレビ局は、視聴率がとれればそれでいいのです。

 それ故に、競技としてのレベルはだんだんと下がっていき、格闘家を目指す選手も減っています。
 魔裟斗のような、格闘家としてのスキルもテレビ的な人気もダントツの選手がいるうちはいいのですが、今後、彼のような選手が出てくるか、非常に不安なところです。

 さて、アメリカと日本の最大の違い。
 それは、ファンです。

 3億人以上の人口がおり、それぞれがそれぞれの嗜好を持っているアメリカ人。
 そして、自分が好きなものに対してはしっかり金を払うというマインドもあります。(レストランのチップ制度などとも関係あるかもしれません)

 1億人以上の人口がいるのですが、基本的に「流行っているもの」を追いかける人が多い日本人。受動的な趣味なので、あまり金も使ってくれません。
 格闘技の消費者の多くの動機、「テレビでやってたから見た」「なんかみんなが見てるから見た」というもの。
 
 競技レベルを上げれば収益が上がるというアメリカと、
 素人受けするようにしないと収益が上がらないという日本という構造になるわけです。
 さらに、日本の放送はほとんどが地上波のため、視聴者から直接料金を取る方法が確立されていません。
 アメリカは、広すぎて電波が届かない地域が多いという理由でケーブルテレビが広がったのですが、一つの地域に複数のケーブルテレビ会社が入って競争をしたため、テレビを通じて受けられるサービスが多岐にわたっています。
 その中で、テレビを通じて課金する制度が整ったわけです。
 まるで、日本で携帯のコンテンツから課金するシステムがしっかり確立しているように。

 日本のテレビは、放送法により新しいテレビ局の参入はほぼ不可能です。(参入させないために、テレビ局から政治家に多額の献金が行われ、テレビ局にはたくさんの役人が天下りしています)

 それゆえに、はっきり言って根拠が怪しい視聴率というものだけを争った、いつまでも進歩がない番組作り。
 テレビを通じたエンターテイメントのレベルは悲惨な状況です。

 私は、年に数回しかテレビを見ないのですが、そのときいつも思うのが、「いつまでたっても進歩がないなあ・・」ってことです。

 ただ、このところやっと、そんな旧態依然としたテレビ業界の危機が始まりました。
 テレビは変わっていくのか。
 テレビは、日本人視聴者の体質を変えるような、魅力的なコンテンツを発信してくれるのか。
 テレビは、視聴者から効率的に料金を引き出し、コンテンツの提供者にその金をスムーズに回すことが出来るようになるのか。

 コンテンツの発信がインターネット中心になり、国境がなくなる時代はすぐ近くまで来ています。むしろ、すでに始まっています。
 日本のエンターテイメント業界は、一刻も早く変わらないと、また一つ日本から産業がなくなり、また日本が貧乏になっていくわけです。

 アメリカの格闘技の試合が有料でインターネット中継されるようなれば、たぶん私はそれを見るでしょう。
 でも、年に数回日本で格闘技イベントを観に行くもりぞおさんとしては、日本国内でレベルの高い格闘技が続いて欲しいのです。。。

kamipro No.141(エンターブレインムック)kamipro No.141(エンターブレインムック)
(2009/11/24)
不明

商品詳細を見る


ジャーナリズム崩壊 (幻冬舎新書)ジャーナリズム崩壊 (幻冬舎新書)
(2008/07)
上杉 隆

商品詳細を見る
関連記事
Check
Secret

TrackBackURL
→http://mota2009.blog28.fc2.com/tb.php/21-4e42d355
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。