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数ヶ月前から気になっていた映画があります。
 今の世の中、映画を観る方法なんていくらでもあります。
 新宿には、世界で一番なんじゃないかってくらいたくさんシネコンがあるし、周辺にはちょっと古い映画をやる名画座もある。
 そして、TSUTAYAに行けば、山ほどDVDが。

 しかし、その映画は、日本で数館しか上映しておらず、今見るなら名古屋まで行かねばならない。そのあとは九州。。
 DVDも出ていない。

 その映画の名前は、「今、僕は」
 
 元々俳優だった竹馬靖具という人が、「自分が出たい映画を作った」ということで、制作費50万円。監督/脚本/編集/プロデュース/主演、俺。
 主な登場人物は3人。
 そんな、映画です。

 これが、第19回映画祭 TAMA CINEMA FORUMというところでやるというので、わざわざ、京王永山とかいうきいたことのない駅まで行って観てきました。

 そして、この映画、傑作でした。

 おそらく、この後見ることが出来る人が少ないと思うので、かなりネタバレ込みで書きます。

 引きこもりが主人公の映画。
 しかし、引きこもりの原因になった理由の説明などはない。
 また、彼の心の声が流れたりもしない。
 音楽すらない。

 布団にくるまり、ゲームをやり、母親を罵倒し、コンビニでポテチを買う。

 そんなどうしようもない生活が、家庭用かもしれないカメラの画像で、淡々とつづられていきます。

 みているほうは、どうしようもなく、辛い気持ちになります。

 母親は、どうしようもなく不器用な形で息子に近づきます。
「少しは働きなさい」「なにやってんの」
 こんな接し方しかできない母親にイライラし、それに対する主人公のリアクションにもイライラします。

 そこに、母親に頼まれた、おせっかいな男がやってきます。
 主人公を無理矢理ワイナリーに連れて行って働かせる男。日曜日に草野球に連れて行く男。どうしようもなくやさしいのですが、主人公がそんなこと喜ぶわけはないだろ!と、いうことで、やはりイライラします。もちろん、それを断れない主人公にもイライラします。

 とにかく、開始数十分、イライラしつづけるのです。

 まるで、今日本を取り巻いている空気のようなイライラ感。

 しかし、男のお節介が主人公を追い込み、変化を生み出します。
 主人公はワイナリーから逃げだし、再び家に戻ります。
 そして、ベッドで丸くなります。

 そのことを知った母親は、主人公をなじります。
 逆ギレした主人公は、母親をボコにします。

 主人公は、世間との、たった2本のつながりである、男と母親を裏切ってしまいました。
 ただ、自分の意志を主張できたという点では前進かもしれません。
 しかし、本当の試練はここから始まります。

 病気になった母親は、「ごめんね。ごめんね。。」と謝り、亡くなります。
「また、一緒に働こう」と言った男は、突如、交通事故に遭います。

 2本のつながりは完全に切れてしまいました。

 映画前半のイライラ感は、絶望感に変わります。
 とにかく、辛い気持ちが会場を覆います。

 もちろん、監督の意図によって作られた絶望感なのですが、最小限の台詞と映像によって作られた絶望感は、説明に説明を重ねて合理的に作られた絶望感とは比べものにならないほど、深く、重く、不快です。


 今、世界全体として、いろいろな難易度が上がっている気がします。
 例えば、仕事。
 成果主義という制度は、成果を出した人には優しいが、成果を出してない人はかまってもらえません。存在を無視されます。
 そして、世の中には、成果を出せる人の方が少ないのです。
 自分が、成果を出せない方の人だと悟ってしまった人は、絶望し、無気力になります。

 しかし、ゲームの世界では、主人公は、危険な場所に勇気を持って踏み込んでいき、困った人を無償で助け、命がけで世界を救います。
 世界中の人は、主人公を称えます。
 自分が、選ばれしものとなって、世界に希望を与えるのです。

 このギャップの大きさは、恐怖です。
 そして、その恐怖に打ちのめされた人の姿がこの映画に映っています。
 その姿は、もしかしたら、ちょっと道を踏み間違えた自分かもしれない。


 さて、2本のつながりが切れてしまった主人公は、死を決意します。
 コードを結んで、首つり。

 が、お節介な男は、交通事故にもめげず、主人公を助けます。
 またも反射的に逃げる主人公。追う男。山の上で追いつかれ、もみ合い、泣き崩れる。

「帰ろう・・・。」

 帰る場所なんてないような気もする。
 でも、帰るしかないんだ。

 閉塞感と、息苦しさと、辛さ。
 それを、リアルに、強烈に見せてくれた「今、僕は」

 観る機会があったら、是非観ることをおすすめします。

今、僕は HP
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