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ツレがうつになりまして

この映画を観てまず最初の、たったひとつの感想

ツレうつ


あ お い た ん が か わ い い 。

さて、気を取り直して映画の話を。
この映画は、神経質な外資系苦情受付係サラリーマンのツレが、激務によりうつになったのを、売れない漫画家のあおいたんが支えるって話です。

うつになったことを受け入れられず、働けないことに罪悪感を抱え続けるツレと、
そんなツレにどう対処していいか分からないあおいたん。
そんな二人が、だんだんと成長していき、うつとのつきあい方、二人(+2匹)で生きていくことの意味を見つけていくという、大変よくあるストーリーです。

しかし、そんなよくあるストーリーでも、ツボがしっかり押さえられているので、大変感動的です。
(終盤のCGを使った謎の演出や、講演会でのアレを除けば)最初から最後まで、あおいたんとツレに感情移入できるし、二人で見つけた新しい道を歩いて行く姿を心から応援したくなります。

結婚式にて、多くのカップルがカタコト日本語の神父に言われるあの形式的な言葉が、これほどまでに胸に響く言葉として生まれ変わるとは…。
純粋に、とても素敵な映画でした。

ただ、元サラリーマンとして思うのは、ツレのそばにあおいたんがいなかったらどうなっていたんだろう…ってことです。

まず、ツレは映画の中で2年以上社会復帰会社復帰出来ていないわけですが、自己都合退職で雇用保険が支払われるのは30歳以上、勤続10年以上だと210日(約7ヶ月)です。
これが20代、勤続5年未満だとたったの90日(3ヶ月)です。しかも、給付が始まるのは、退職の3ヶ月後。

もし、あおいたんが漫画を描く仕事をしていなければ、生活は成り立ちません。
もし、あおいたんがいなかったら、退職7ヶ月後のなにも出来ない亀状態のツレは、その状態で働きに出ないと生きていくことは出来ません。(あおいたんの両親は映画に登場するが、ツレの親戚は一切出てこないため死別してるんじゃないかと思われる)

また、経済的に問題がなかったとしても、あおいたんがいなければ、ツレは精神的に立ち直れなかっただろうし、そのことで命を絶っていた可能性も高いです。(そのことを示唆するエピソードもいくつか入っている)

こんな話の中で憤りを感じるのは、こんな人を死に追い込むような傷を負わせた会社に何のペナルティもないことです。

業務上で負った負傷に関しては、会社がその保証をしなくてならない「労災保証」という制度があります。
しかし、うつ病などの精神疾患に関しては、会社の業務だけがその原因だったかを証明することが非常に困難なため、労災認定をされることはまれです。(早朝出社、深夜帰宅、家では寝るだけの生活であっても)

大企業であれば、精神疾患者をタコ部屋に閉じ込めて給料を支払い続けるということをしていますが、中小企業にそんな余裕はないため、さっさと追い出すのが通例です。
ってか、在職期間中に追い込めるだけ追い込んで、労働力を絞り出して、壊れたら捨てるのが一番企業にとってリーズナブル。

ブラック企業ってのは、そんな風にオレンジを搾ってジュースを作って売るような経営をしている企業の事です。

私は、周りの過剰労働している人たちによくこういうことを言います。

「寝不足で週末寝てばっかとか、時々頭が痛いとかのレベルなら、後で笑い話にもなるからまあいい。でも、うつ病とか不眠症とか、長期間後遺症に残るような事態になりそうなら、絶対に仕事を休んだり辞めたりするべきだ。
 たかが仕事で、一生背負わなければいけない傷を負う必要は全然ない

映画の中でツレが、「やらなきゃいけない」「周りのみんなに迷惑がかかる」「社会にもうしわけない」ということを何度もいいます。
あおいたんが、「辞めなかったら離婚する」と言わなかったら、倒れるまで(もしくは自殺するまで)会社を辞めなかったでしょう。

そんなことを心配する必要は全然ない。


会社なんて、労働者をつぶして果汁を搾り出す機械みたいなもんだ。
そして、あなたが辞めて、そのことに周りが共感すれば、会社は変わる。
部門長が失脚したり、部署がなくなったり、会社が潰れたり。
それは、短期的には部門長や部署のメンバーや会社の社員にとって悪いことかもしれないけど、ながい目で見れば、その人たちを精神疾患から救うことになるかもしれないのです。

そして、国には、こういう会社を辞める人たちを支援する制度を作って欲しい。
独占や覚醒剤の売買など、多くの人にとって害があり、かつ絶対に儲かる商売は法律で規制されているように、従業員から果汁を搾り出して搾りかすを捨てるような商売にも規制をかけるべきだと思う。

もりぞおさんは、国に富をもたらす企業に対しては優遇すべきで、法人税はもっと下げるべきだと心から思っています。
しかし、企業よりも国が守るべきは労働者の命なわけで、サービス残業に対する罰則強化と共に、労働基準局はもっと仕事をして欲しいし、国会議員は法律を整備して欲しいのです。
残念ながらそれはあまり期待できそうもないけど。。

そして、現状、それが出来ていないこの国で生きていくためには、自衛をしていかなくてはなりません。
あおいたんとツレがそうしたように、自営で生きていくという選択肢を確立するのが一番だとは思うのですが、それはそれでなかなか困難です。現実的には、いつでも会社を移れるようにスキルを身につけ、準備をしておくというのが精一杯かもしれません。

もりぞおさんは、常に意識をして「年収の一割は給与所得以外で得る」ということをルールとしていろいろ準備をしています。
また、働く場所は自分で選べるように、「アジア就職活動」と題して、いろんな国で働くことにチャレンジしています。

願わくば、そんなノウハウをたくさんの人に伝えて、たくさんの人に選択肢を確立して欲しいと考えています。

世界の多くの人のそばには、あおいたんはいないんだから。

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