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左側にある、私の似顔絵を描いてくれた佐藤秀峰という漫画家さん。
 以前紹介した「ブラックジャックによろしく」のような社会派漫画を描いている方です。
 そして、彼は「もう、紙の漫画雑誌は終わってる・・。」ってことで、漫画の配信サイト「漫画onWeb」を立ち上げました。

 彼の全ての漫画が旧作1話10円、新作1話30円で、PCやiPad,iPhoneなどで読める便利なサイトで、さらに、誰でも格安(システム管理料金のみ)で出品出来るサイトです。

 彼自身は、このサイトの売上および、この配信が話題になった事による仕事量の増加(出版社を通さないで仕事を受けると利益率が高いのです)により、なかなか潤っているようです。

 しかし、ここに出展している人たちの利益にはあまり繋がっていないようで・・。

 と、いうわけ(かどうかは分かりませんが)、彼は代表作である「海猿」「ブラックジャックによろしく」全話を無料で公開しました。


 と、いうわけで、今回は「海猿」について書いてみようと思います。

「海猿」は、海上保安庁の職員のお話です。
 主人公は、当初航海士だったのですが、ある事件を機に自身の限界を感じ、潜水士を目指します。
 船の上からの救出よりも、海の中にダイビングして救出。
 それは、主人公により深い危険を課すものであり、物語に幅を与えるものでもあります。

 以前紹介した、「岳」でも言ったことですが、山岳救助でも海難救助でも、当然の如く、人がバンバン死にます。

「海猿」と「岳」、この両作品で素晴らしいのは、その「人が死んでしまう」ということに、真っ正面から向かい合っていることです。

「岳」では、主人公は無事に助かった人にも、明らかに自らの過失で遭難した人にも、死んでしまった人にも、「よく頑張った」と声をかけます。

「海猿」では、絶望的な状況でも、「これからの「正義」の話をしよう」に出てくる「1人が犠牲になれば、残りの全員が助かる」という状況でも、「全員助ける」という信念の元に主人公は動いていきます。

 どちらの主人公も、合理的ではないのですが、危機的状況の中で、救助される人は、その非合理的な考えに救われることが多いはずです。
 ってか、山岳救助とかクルーズとかの救助の場合、「遭難が恐いなら、そんなことするな!」で片付けられてしまうわけですから。

 海猿では、さらにもう一つの「非合理」が現れます。
 それは、「救助する側の思惑」です。

 尖閣諸島問題のように、隣国の船が日本の領海に入ってくることは、日常茶飯事とは言わないまでも、毎年何件もあることです。(私も海上保安庁の人に聞いたことがあります)

 その進入してきた船に対して、穏便にお帰り願うか、事を荒立てて政治問題にするかは、政治的な判断が入ってくるわけです。

 パソコンのモニタや、紙に印刷された資料を元に合理的(だと願いたい)に判断された結果は、現場の人間にとって、時に非合理極まりない結果になります。

 相手がまだ何もしていないのに、威嚇射撃をすること。
 その威嚇射撃によって、現場の人間は罪のない(微罪はあるけど)人を殺してしまうかもしれないのです。

 無謀に特攻してくる漁船の船長を逮捕すること。
 彼らが銃を持っているかもしれず、自らの生命の危機があったにもかかわらず、即座になすすべなく解放されてしまうかもしれないのです。

 やってらんね┐( ´Д`)┌ と、動画をYoutubeにアップする気持ちもわからなくもありません。

 でも、そこを一歩踏ん張って、自らの職務を愚直にこなしていくことに、物語のロマンを感じるのも事実です。
 非合理であることを分かりつつも、自分の目の前にいる人の事を考えて、行動をすることはやはり美しいです。

 そして、目の前の事件が片付いた後に、よりよくするためにはどう行動すればいいのか、改めて合理的に考えればいいのです。

 作者の佐藤秀峰も、海猿やブラックジャックによろしくのなかで、編集部に勝手に台詞を書き換えられたり、原稿料が異様に安かったり、印税の支払われ方が理不尽だったりという、出版界の悪しき伝統に悩まされていました。

 その中で、出版社と交渉を続け、自らの意見を主張すると共に、クオリティの高い漫画をアシスタントの雇用を守りながら、粛々と続けてきました。

 そして、もうこれはあかん。やってらんね。となったところで、「出版社を通さないで漫画を発表する場」を自ら作り上げるという合理的な判断に至ったわけです。

 現場ではきっちり仕事をする。しかし、間違っていることはきちんと心に留めておく。そして、機を見て自らその間違いを正す、建設的な行動に移す。

「海猿」や「ブラックジャックによろしく」の主人公のような行動を、実社会でも自ら実行するこの人は本当にスゴイと思うし、応援していきたいです。

「海猿」「ブラックジャックによろしく」は、とりあえず2010年12月末まで無料公開中のようですので、是非ご一読をお勧めします。PCでもものすごくスムーズに見れますが、iPadで見ると、最高です。

 次回、この勢いで映画版「the last message 海猿」観に行ってきます。
 踊る大捜査線3ばりの非合理的に酷い映画だともっぱらの噂なので楽しみです。

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