上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
Check
「閉塞感」

 今、日本の現状を一言で例えると、一番多くの人が国にする言葉ではないでしょうか?

 国の中を見れば、老人が増えて子供が減って、小売売上高が減って失業率が増えて、国の債務残高が増えて年金の納付率が減っている。

 国の外を見れば、怖いアメリカ人とか、生意気な韓国人とか、野蛮な中国人とか、何者なのか想像もつかないインド人とかが、知らない言葉で襲い掛かってくる。

 しかし、そんな日本よりもさらに、閉塞感に苛まれまくっている世界が舞台の漫画があります。

進撃の巨人(1) (少年マガジンKC)進撃の巨人(1) (少年マガジンKC)
(2010/03/17)
諫山 創

商品詳細を見る


 この漫画の舞台では、身長15mもある巨人が無数に生息しています。
 この巨人は全裸で、知能は低く、人間を食べること以外の生態はよく分かっていません。
 たちの悪い事に、大砲で頭をふっ飛ばしても1分で再生するくらい生命力が強く、まだ核兵器やクラスター爆弾はもちろん、自動車すら持っていない人類はなすすべがありません。

 そこで、高さ50mを超える高い壁を作り、その中に街を作り、細々と暮らしているわけです。

 自分たちの作った壁の中でしか生活できない閉塞感。
 自分たちが弱いから外に出る事が出来ないと心の底から理解しているが故の閉塞感。


 そんな中で100年も暮らしていると、閉塞していることに疑問を感じなくなり、少数の変わり者以外は、壁の外に出てみようという気力すらなくしてしまいます。
 そこに、規格外のでかさの巨人が現れて、壁をぶっ壊すところから物語は始まります。

 経済知識がない人にとって、リーマンショックとか、サブプライムローン問題とか、経済のグローバル化とか、そういったものはまるでこの漫画の巨人の様に見えているのでしょう。

 なんだかよく分からないけど、自分たちを襲って、喰らい尽くす、恐怖の存在。

 そして、自分たちは無力であり、支配されている存在で、なすすべなく殺されるかもしれないという恐怖に襲われるのです。

 この漫画の中で、恐怖に立ち向かう人間がたくさん出てきます。
 圧倒的に脆弱でありながら、必死に考え、巨人の弱点を探し、出来る限りの技術を集めて装備を作り、訓練を重ねてそれを使いこなす。

 そうやって、鍛え抜かれた戦士たちは、壁の外に出て調査を行ない、壁の中に侵入してきた巨人と戦い・・・大半が巨人に喰らい尽くされます。

 強いものが弱いものを食べるだけの、シンプルな世界。

 そのシンプルさを、21世紀の日本で、思いっきり具現化したところに、この作者のセンスを感じます。

 その時、人類は何をするのか?どんな行動をとるのか?状況を打開できるのか?何をすべきなのか?

 現在、まだ2巻しか出ていないのですが、この時点でそのヒントが少し出ています。

 若い人間の感情と、知恵と、才能。
 これが、絶望的な状況を切り開く武器となりうる。

 物語の中で、巨人の正体はどんなものか、全く明らかになっていません。
 もしかしたら、単なる神の試練か気まぐれなのかもしれませんし、人類が自ら生み出してしまった悪魔なのかもしれません。

 エヴァンゲリオンの使徒のような「殲滅しなくてはならない敵」なのかもしれませんし、ヒックとドラゴンのドラゴンのような「いつか分かりあえる生物」なのかもしれません。

 しかし、なんだかよく分からないものに立ち向かわなくてはならない事は確かです。
 村上春樹の1Q84ではこのなんだかよく分からないものは、人間が自分たちで作り上げたシステムであり、それは人々の日常にすり込まれているものとして描かれていました。

 進撃の巨人では、これがそのまんま「巨人」という形で具現化し、有無を言わさず襲ってくるものとして描かれています。

 よくわかんないけど、自分たちでは絶対勝てなさそうなものに、どうやって挑んで行けばいいのか?

 いろいろな困難を背負って生きている2010年の日本人。
 そんな中、リアルタイムで続きを読んでいきたい作品です。

 そして、この連載が終わるころ、日本はどうなっているのでしょうか?

 なすすべなく巨人に食い荒らされて、もっと小さな壁の中で暮らしているようなことがないように、現実を直視しながら生きていきたいと思います。

進撃の巨人(1) (少年マガジンKC)進撃の巨人(1) (少年マガジンKC)
(2010/03/17)
諫山 創

商品詳細を見る


進撃の巨人(2) (少年マガジンコミックス)進撃の巨人(2) (少年マガジンコミックス)
(2010/07/16)
諫山 創

商品詳細を見る

関連記事
Check
Secret

TrackBackURL
→http://mota2009.blog28.fc2.com/tb.php/115-2f13ecda
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。