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この映画は、実在の人物を題材にしたフィクションである。

ジョナサン・エリザベス・クヒオ大佐

 職業:アメリカ空軍特殊部隊パイロット
 父:カメハメハ大王の末裔
 母:エリザベス女王の妹の夫のいとこ

 と、自称していた結婚詐欺師。

 もうこの時点で、完璧なギャグです。
 無茶苦茶するにもほどがあるねん!

 しかし、映画館で物語を観ていると、大変なことに気づきます。

「この話、喜劇(コメディー)ではなく、悲劇(エレジー)だ・・・。」

 この話は、クヒオ大佐と松雪泰子演じるお弁当屋社長との話を軸に進められます。

 借金を残して消えた両親。
 ギャンブルで作った借金をせびってくる弟。

 そんな重荷を背負いながら、彼女は健気に街の小さなお弁当屋を経営し、生活しています。
 働いてばかりで、楽しい事なんてほとんどなかった人生。

 そんな彼女の所にふと舞い降りてきた夢の世界。
 それが、クヒオ大佐と、彼が語る世界だったのです。

 それは、まるで、高度経済成長の中、脇目もふらずにモーレツに働いていた日本人が、盲目的にあこがれていたアメリカのような存在。

 コカコーラのCMでも振り返ったように、そこには、自分たちが体験したことのない素晴らしい世界が広がっているように見えたのでしょう。

 しかし、このクヒオ大佐が暴れていたのは、1990年代前半。
 折しも、アメリカがクェートに侵攻した時期。
 映画の最初にも、このことが、しつこいくらい触れられています。

 この、湾岸戦争で、日本は軍隊を出さない代りにとんでもない額の戦費を負担することになりました。
 そして、そのことについて、誰にも感謝されませんでした。

 お弁当屋さんも、同様に、多額の金をクヒオ大佐に渡し、従業員の給料を払うことができなくなります。多くの人に迷惑をかけました。

 クヒオ大佐は、このことについて、こうのたまいます。

「私は、相手が望んでいることをしてあげただけだ!」
 そう。クヒオ大佐は、お弁当屋さんに夢を与えてあげていたのです。

 イミテーションの軍服を着て
 カセットテープで飛行機の騒音を流しながら電話をし、
 3箇所もスペルが間違った名刺を用意し、
 わざと片言で喋る日本語を駆使して。 

 しかし、クヒオ大佐が作っていた夢は、お弁当屋さんのためだけではありませんでした。
 クヒオ大佐自身の夢なのです。

 父親の虐待。
 貧乏ゆえの仲間はずれ。

「私は足が速かったので、一番野球が強いチームで、センターを守っていました。
 でも、ピッチャーがすごく上手かったので、ボールが飛んできません。
 だから、空ばかり見ていました。
 それで、飛行機が好きになったのです。」

 空を見ていた理由は嘘だけど、彼は、空の向こうにひとつの夢を見ていたのは本当なのでしょう。

 さらに折しも公開された2009年。
 この前の年に、アメリカは、今まで行ってきたこと全ての化けの皮がはがれました。

 国民全員に無茶な借金をさせることで作ってきた巨大消費
 相手の都合も考えずに、自国の利益のためだけに介入した国際紛争
 ありもしない金をふくらませて作った経済大国

 アメリカは言うでしょう。
「私は、世界が望んでいることをしてあげただけだ!」
 そして、態度を軟化させながらも、アメリカ人の心にはまだ、自分たちが世界の中心であるという強烈な自負が残っているようにも感じます。

 それは、ボロい自宅アパートの一室でも、片言の日本語と腕立て伏せを続けるクヒオ大佐のように。
 まるで、それを止めてしまえば、自分自身が消えてしまうような、そんな必死さで。

 映画の中でも、クヒオ大佐の嘘は、
「その嘘を信じたい」と思っている人にしか、通用しませんでした。

 2009年現在。
 アメリカの嘘を信じたい人は、世界中にどれくらいいるのでしょう?
 そして、アメリカは、世界と自分に嘘を貫き通すことができるのでしょうか?

 クヒオ大佐の悲劇(エレジー)は、アメリカと世界全体の悲劇(エレジー)につながっているような気がします。
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