上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
Check
 アメリカには、先住民(いわゆるインディアン)がたくさん住んでいます。
 そもそも最初に住んでいたのは彼らなので、白人がどうこういうことではないのですが、現実は、白人が「ここはおまえたち住んでいいよ」と白人が決めた土地に住んでいるのが現実です。

 そんな、アメリカとカナダの間にある保留地でのお話。

 保留地では、アメリカの警察は手を出せないため、警備が緩くなります。
 そして、アメリカとカナダの国境の川は凍りつき、車でもわたれるようになります。

 そこに目をつけたのが、中国の移民マフィア、スネークヘッド。
 カナダからこの川と保留地を通って、移民希望者をアメリカに渡し、多額の報酬をせしめるのです。

フローズンリバー1


 本作品の主人公は二人の母親。

 一人は白人。
 ギャンブル狂の旦那に新しい家を買う金を持ち逃げされた二児の母。

 一人は先住民。
 旦那が亡くなり、経済力がないため義母に1歳の赤ん坊を連れて行かれた一児の母。

 二人は偶然出会い、この密入国の手引きをすることになります。
 
 二人の共通点は母であるということだけ。
 車の中で会話はほとんど無いし、お互いの境遇について理解し合うこともありません。
 スネークヘッドとつながりがあり、保留区に出入りできる先住民という立場と、
 川を渡れる車を持っており、アメリカの警官に尋問されにくい白人という立場、
 お互いが持っていないモノを利用するだけという、ビジネスライクな付き合いです。

 この二人に、次々と「母」としての試練が訪れます。

 他人の子供を殺しかけてしまうこと。
 自分の息子の不始末の尻ぬぐいをしなくてはならないこと。
 
 男性目線の私からは理不尽にしか見えないその選択は、きっと母親がとるべき当然の選択肢なんでしょう。
 なぜなら、「母親」という事以外まるで共通項がない二人が、この件に関して意見の相違が起こらないのですから。

 この様に、この映画は、徹底して母親目線で描かれます。
 この点は、同じく女性監督がメガホンを握っているハート・ロッカーと真逆です。

 アメリカという国のしでかしたことの尻ぬぐいのため、命がけで任務にあたるハート・ロッカーと、
 自分の尻ぬぐいのため、アメリカの法律を破って、命がけで犯罪を犯すフローズン・リバー。

 社会のために、「でもやるんだよ」精神で無茶をする男性的役割と、
 子供のために、「あなただけは絶対に守る」精神で無茶をする女性的役割。

 そのどちらも美しいモノなのですが、同時に主人公の無力感も大きく描かれています。

 100円ショップのバイトではした金を稼ぐことしかできない白人。
 目が悪いからまともな職に就けない先住民。

 犯罪に手を染めてでも、人に拳銃を撃ってでも、守らなければならないモノがある。
 ちなみに、そのために必要な金は、たかだか40万円です。。

 この二人は、警察に追い詰められたとき、究極の決断をします。
 凍った川のようにどこにも行く当てがなく、ただ今の状況を乗り切ることだけを考え続けた二人は、それぞれが合理的に物事を考え、お互いと、お互いの子供たちが、将来一番幸せになる方法を必死に考えるのです。

 どうしようもない状況に追い込まれたとき、それでも腹をくくって何かをしなくてはならないと悟ったとき、男でも女でも、人は強くなるんだなと感じさせてくれる映画です。

 そして、その強さは、友情や愛情から出てくることもあるでしょうが、やはり最後は自分の腹から沸いてくるのだと思います。

 春になって、川の流れが氷を割って再び流れ出すように。
 
関連記事
Check
Secret

TrackBackURL
→http://mota2009.blog28.fc2.com/tb.php/102-bf9e60d1
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。