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先日、ダンディーなジョブス風ファッションに身を包む、佐々木俊尚さんのトークイベントに行ってきました。

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彼は、電子書籍の衝撃などの著書やtwitterの朝のキュレーションでおなじみのジャーナリスト。私はかなり昔からちょいちょい著書を拝読させていただいており、なかでも、ケータイ小説の作家を取材することで、郊外に住む人たちの状況を掘り下げた「ケータイ小説家」が一番のお気に入りです。

今回のイベントは、新刊「「当事者」の時代」発売記念イベントです。

「当事者」の時代 (光文社新書)「当事者」の時代 (光文社新書)
(2012/03/16)
佐々木 俊尚

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本書では、彼が新聞記者時代に行った警察回りの取材の記者と警察官との慣例の二重性や、古代日本の神社の風習、アメリカの各種白人と黒人との関連性など、古今東西たくさんの分野の分析を行いながら、「当事者」性のなさが発生する原因を掘り下げていっています。

このトークショーの中でも、本書を書くきっかけとなったいくつかの事件を解説してくれたのですが、私の心に残ったのは、終盤に語っていた90年代と現在の日本の状況の変化です。

私が勝手に解釈した内容を、佐々木さんが説明に使った資料に私が一部改編した図で説明してみましょう。

当事者1

昔の日本はTVなどに出てくる幸せそうな家族=平均的な幸せの風景=中流層がほとんどであるということになっていました。
そして、新聞記者などのマスコミは、家庭を顧みないハードボイルドな異端と自分で思っており、中流から距離をとってその状態を報道していました。

その中流の状況を浮かび表すために使われたのが、マイノリティの存在。
マスコミは、中流よりも悲惨な状況にあるマイノリティ=弱者に憑依し、新聞紙面上で勝手に自分たちの辛さを吐露し、結果として中流層を肯定するような記事を書いていたわけです。

心をなくしたシステムエンジニアの悲惨さを勝手に代弁することで、大衆の溜飲を下げるような報道。システムエンジニア本人は結構楽しくやっているというのに。

しかし、現代。経済が衰退し、今まで「中流」の名前でひとくくりにされてた中身が、ひとくくりに出来ないくらい分裂してきました。

当事者2

この様な時代に、弱者に憑依することは意味がありません。
リアルに困っている人がそこら中にいるなかで、幻想のマイノリティを代弁して悲劇を語っても、説得力が全くないのです。さらに、「異端」であったはずの新聞記者などマスコミは、実は上流の方の人間だということもばれてしまっています。

震災時の報道で心を打つ記事が全国紙ではなく、現地の地方紙であったり、現地で活動する人たちのblogでした。それは、彼らが「当事者」であったからなのです。可哀想な人に憑依するだけの全国紙からは「当事者」の感情を感じることができなかったのです。

私も今、海外就職を自ら実践している「当事者」であり、その情報を多くの人に伝えることを生業としています。
本書の感想やtwitterでの意見を読んでいると、この当事者性に共感して自分もやってみようと考えてくれる人が多いことに励まされます。

しかし、海外就職を目指す「当事者」の中でも、私はかなり恵まれている部類に入ります。上記の図の中で見ると、都会に住んでいる正社員としてキャリアを積んでおり、しかもそのキャリアがアジアでの需要とマッチしているという幸せっぷり。
そんな私の海外就職活動は、日本で働いていてもチャンスがないから海外を目指す!という人の当事者性を代弁していないのでは…ということをうすうす感じていました。

さらに、私は海外就職というのは、日本で上手くいっていない人へのもう一つの選択肢であり、上図の下の四角に入っている人にこそ検討してもらいたいことです。
しかし、twitterやblog、書籍を中心とした情報伝達で、私が最も伝えたい人に情報は届くのでしょうか。。

結論から言うと、すんなり届けるのは無理そうです。

地方の若者に対しての情報発信手段として、ヤンキー雑誌やギャル雑誌はある。しかし、それ以外のまとまった情報源はまだ作られていない。地方のご近所コミュニティにも、ネットではアクセス出来ない。
今、最も多くの人に伝えるための手段としてテレビがありますが、それに載るための手段として「困窮する若者!絶望の日本!希望はアジアだけ!」みたいに、勝手に若者に憑依するマネはしたくない。

あくまでも、自分がやってきた経験と、取材した客観的な事実を元に、メリットもデメリットも真摯に伝えるしかないと考えさせられました。
そんな情報が、twitterでRTされたり、時々雑誌に載ったり、もしかしたらテレビ局の人の目にとまったりして、だんだんと広がっていうのを待つのがいいのかなと改めて考えています。

1人1人がやれることを自分でやってくしかないんです。
私は、自分の出来る範囲で情報を発信する。
困っている人は、自分のできる範囲で情報を拾っていく。
そんななかで、上手く巡り会えて、実際に情報が行動に変わって、誰かの人生をいい方向に向かわせることが出来たら…。

そんなことをゆるく考えながら、引き続き、淡々と情報を流していきますので、今後ともおつきあいいただけたらと思います。

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