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西原理恵子の太腕繁盛記 FXでガチンコ勝負!編西原理恵子の太腕繁盛記 FXでガチンコ勝負!編
(2009/09/25)
西原理恵子

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 私が旅に出る前、主にSPA!などで、FXがブームになっていました。
 SPA!と女性週刊誌に特集が載るようになったら相場は終わりという格言を私が勝手に創ったのですが、当時は円が常にだだ下がり、豪ドルやNZドルが高金利と、いうかんじで、円とドル以外を買ってればバカでも儲かる相場でした。

 FXで2億円稼いだ主婦が税金申告漏れ!

 みたいなニュースが流れてましたが、そんなに稼げたのはバカみたいにレバレッジを効かせてた証拠で、簡単に2億円も稼げれば、簡単に20億円くらい損しちゃうってことです。

 なにせ、当時のFXはレバレッジ200倍とかあって、
 100万円持ってたら、2億円分の外貨を買えちゃう
 という恐ろしい状況だったわけですから。(ちなみに今は規制ができて、20倍くらいまでになってるはずです)

 で、サブプライムショック→リーマンショックでその流れが逆流し、多くの屍が作られてきたわけですが、その中に、我が師サイバラさんも混ざっていました。

 最近、「毎日かあさん」というほのぼの家族漫画(毒入り)がヒットしたサイバラさんですが、元々は「まあじゃんほうろうき」というギャンブル漫画出身です。

 普通の麻雀漫画は、かっこいい主人公が麻雀で全ての事件を解決するという「美味しんぼ」形式なわけですが、この漫画は、麻雀の素人である若き日のサイバラさんが、麻雀プロに戦いを挑み、破れ、印税を根こそぎもってかれるという話です。

「嘘をつくのが職業」
 と、自称してたので、フィクションかと思ってたら、後の著書で
アレは、全部ホント。マジで金を持ってかれてた。
 命の次に大事な金を持って行かれる辛さは、実際に金をかけてないと味わえないし、それを描かなきゃ読者に面白いともってもらえない」

 恐るべし、漫画博徒。

 そんなサイバラさんが、久々に手を染めた博打がFXでした。

 スポンサーは、内藤が亀2に持ち上げられたときに、ケツに広告を出してた、
内藤

 保険見直し本舗でおなじみのウェブクルーというIT企業。

 この会社が、投資相談のサイトやFXサービス・FXキングを立ち上げる際に、宣伝用にWeb漫画を依頼したのがこの漫画です。
 ちなみに、サイバラさんが選ばれたのは、社長がファンだったから。
 やだねえ、、創業者ワンマン社長って。

 で、当初、タネ銭は会社が出すことになってたそうですが、サイバラさん、それを拒否。
 自腹で1000万円突っ込みました。

 恐ろしすぎる、漫画博徒。


 毎回、「三百万マイナス!」「120円プラス!」「五百万損切り!」「三百万プラス!」と、滅茶苦茶な金額が飛び交います。

 そして、オチは
「一千万円強制ロスカット!」

 終わった後の対談で
私も盛大に一千万円で遊んだから、楽しかったですよ。
 高い金だしてブランド物買う方が、もったいないと思う。
 それより私は、バクチで「上がった、下がった」ってやってる方が楽しい」
 と、言ってのけるサイバラさんの肝っ玉が、素敵。

 まあ、バクチも、ブランドも、車も、世界一周も、馬鹿馬鹿しさからいったら同じようなモンですからねえ。

 ただ、麻雀とFXどこが違うかと聞かれて
「FXには情緒がない」
「とりあえず、「打倒ユダヤ人!」とか「打倒、アブダビ投資庁」とか行ってたけど、「結局、私の一千万円は誰がもってったの?」って思っちゃう。」

 それが、相場の恐ろしいところです。
 っていうか、FXに関して「投資」という概念が一切なく、完全に「バクチ」になってるのが素敵すぎます。

 で、こんなバクチで一千万円すった漫画を宣伝に使っていたFXキングは、当然ユーザー数は全く伸びず、1年ちょいで閉店とあいなりました。
 南無阿弥陀仏・・・。

 ちなみに、サイバラさんは、その後
「NHKスペシャル マネー資本主義」
 から、出演依頼が来たそうです。

 1000万の投資が、NHKスペシャル出演というリターンに・・。この投資は成功だったのかどうなのか・・・。

 最後に、サイバラさんのお言葉
 これからFXやろうとしている人たちに一言

「レバ一倍で。」 

西原理恵子の太腕繁盛記 FXでガチンコ勝負!編西原理恵子の太腕繁盛記 FXでガチンコ勝負!編
(2009/09/25)
西原理恵子

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まあじゃんほうろうき (上) (竹書房文庫ギャグ・ザ・ベスト)まあじゃんほうろうき (上) (竹書房文庫ギャグ・ザ・ベスト)
(1996/05)
西原 理恵子

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まあじゃんほうろうき (下) (竹書房文庫ギャグ・ザ・ベスト)まあじゃんほうろうき (下) (竹書房文庫ギャグ・ザ・ベスト)
(1996/05)
西原 理恵子

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この世でいちばん大事な「カネ」の話 (よりみちパン!セ)この世でいちばん大事な「カネ」の話 (よりみちパン!セ)
(2008/12/11)
西原 理恵子

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毎日かあさん 5 黒潮家族編毎日かあさん 5 黒潮家族編
(2008/12/13)
西原 理恵子

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先々週に書こうと思って、いろいろあって放置してたのが、漫画「岳」。
 山岳救助隊について描かれた、ほぼ一話完結式の漫画です。

岳 (1) (ビッグコミックス)岳 (1) (ビッグコミックス)
(2005/04/26)
石塚 真一

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 で、この漫画、小栗旬と長澤まさみで映画化が決定しました!

岳

小栗旬:映画「岳」に主演 ヒロイン長澤まさみは髪をバッサリ 3000メートルの雪山に挑む

 写真の洋服が新品感あふれていて、泥臭い原作とまったくあっていないのがすごく気になります。
 背景の山も、ものすごく白すぎて、CG合成感あふれまくってるし・・・。

 あまり期待しないで、かつ、たぶん観に行かないと思います。

 と、いうのは、この漫画の素晴らしい点は、山岳救助隊の活動をリアルに描いていることです。
 リアルさのひとつに、「山では人が死にまくる」ということがあります。

 2008年度日本での遭難事故は1631件、死者・行方不明者は281人。
 膨大とまではいいませんが、たくさんの人が命を落としています。

 この漫画で描かれる遭難事故では、約半分くらいの確率で死者がでます。

 吹雪にあい、方向感覚をなくしどこにも行けなくなる人。
 崖から落ち、足を切断し、失血死する人。
 落石により、頭蓋骨骨折で亡くなる人。

 その残酷な死が、淡々と描かれます。

 この、ピカピカの洋服を着た美形の二人と、地肌の茶色や陰の青が見えない真っ白な山からはとても想像できない、死という現実。

 ただ、この漫画の最も素晴らしいところは、残酷さの表現ではありません。

 そんな、残酷な一面を持っている山を愛している人々。その人たちが、山と山を登る人たちに送る暖かさ。

 これが、この漫画の主題です。

 主人公の、ボランティアの山岳救助員は、山で見つけた遭難者に、必ずこういいます。
「よく頑張った」

 それは、遭難者が生存していても、亡くなっていても一緒です。
 死にそうな目に遭って、やっと見つけた遭難者が、ただの打撲であったときも、自分がいろいろ犠牲にして何とか見つけ出した遭難者が、背中で力尽きたときも、一緒です。

 そして、遭難者が無事に救助され、ヘリコプターで山を下りていくときに、こうやって声をかけます。

「また、山に来てね」

 また、山に登ることの素晴らしさは、それほど押しつけがましく描かれることはありません。
 登る人それぞれに、いろいろな理由はあるのですが、それは、頂上から観た山の風景や、そこにいる人々の表情を中心に描かれているものばかりです。

 残酷さをリアルに、素晴らしさをさりげなく。

 出来そうでいて、なかなか出来ないこのバランスの素晴らしさ。
 疲れることが大嫌いで、リフトがない山に登るのは絶対嫌な私でも共感してしまうのは、この絶妙なバランスによるものだと思います。


 そして、主人公の「よく頑張った」と「また、山に来てね」
 この二つの台詞の素晴らしさ。

 私は、この二つの台詞は、「国が個人にしてほしいこと」そのものだと感じました。

 例えば、日本国民。
 一億数千万人が、好む好まざるに関わらず、この国に住んでいます。
 この国のなかで、たくさんの素晴らしいことを経験するのと同時に、ひどい目にもあっています。

 働けど働けど生活は苦しくなり、生きていくのが日々辛くなったり、
 様々な困難により心を病んで、死にたくなったり、
 一生懸命仕事をしてたくさん金を稼いだのに、税金や理不尽なルール変更でごっそり持って行かれたり。

 そんなときに、一番して欲しいことは、「よく頑張った」と手を差し出してもらうこと。
 
 この漫画の中では、酔狂なボランティアである主人公と公務員である山岳救助隊がこの役目を担ってくれます。
 給料は少額の謝礼金のみで、命がけで山を捜索してくれる人間はそんなにたくさんはいません。
 山岳救助隊は予算が限られており、ある程度以上の捜索は、隊員の個人的ながんばりに支えられています。

 日本の国は、金がたくさんあるころは、おだやかな夏山のように、遭難者も少なく、救助活動も比較的簡単でした。
 また、そこに登りたがる人もたくさんいました。

 しかし、世界全体の格差が縮まるに従って、段々冬山になってきて、その厳しさを増してきました。
 登りたがる人の数も減ってきています。

 そんななか、必要なのはどんなことでしょうか?

 多額の予算を公共投資に突っ込み、山道やリフトを作ること。これは、もう充分やってきたでしょう。これ以上便利にしても、登る人が減っているのはどうしようもありません。

 それよりも、遭難した人に「よく頑張ったね」と手をさしのべること。
 つまり、生活困窮者にとりあえずの水と食料と応急処置を施すこと。そして、病院に運び、怪我を治し、社会復帰への道筋をつけてあげること。

 そして、そんな風に税金を使って助けた人たちに「また山に来てね」つまり、また日本で素晴らしい経験をしてね。とポジティブに応援すること。

 そんなことを地道に続けていけば、日本に住もうという人は少しずつ増えていくのではないでしょうか?

 日本という山は、これからどんどん気温が下がり、天候は荒れ、登りにくい山になっていくと思います。
 そんななか、少しでも登山者を増やすために、バスを増便したり、入山料を安くしたりすることも必要です。

 しかし、それ以上に、ある程度遭難するということを想定した上で、遭難した人に希望を持ってもらえるような救助制度を作る。

 限られた予算の中で優先して行うべきはそんなことではないかと思うのです。

岳 8 (ビッグコミックス)岳 8 (ビッグコミックス)
(2008/11/28)
石塚 真一

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岳 みんなの山 11 (ビッグ コミックス)岳 みんなの山 11 (ビッグ コミックス)
(2010/02/27)
石塚 真一

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最近、漫画がまさかの朝日新聞朝刊に連載になり。
 さらに、まさかのアニメ化。

 十年以上「さくらももこが憎い」といい続けてきたサイバラりえぞお先生が、ついに安住の地を築いてしまったかのように見えていました。。

 しかし、狂犬のように有名レストランから国税庁まで噛みつくことがアイデンティティの彼女が、ほのぼの家族漫画だけを描いていておさまるような輩ではありませんでした。
 今回の噛みつき先は、「漫画家」

 自ら、絵が下手な漫画家として自認する彼女が、多くの漫画家に画力対決を挑むという、リアルストリートファイターのような漫画。
「俺より、下手な奴に会いに行く。」

 これを、公衆の面前でライブで行い、それを漫画にまとめたのがこの本です。

西原理恵子の人生画力対決 1 (コミックス単行本)西原理恵子の人生画力対決 1 (コミックス単行本)
(2010/03/17)
西原 理恵子

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 出演の漫画家がスゴイ。
 藤子A不二雄(笑うせえるすまん、怪物くん)
 やなせたかし(アンパンマン)
 ちばてつや(あしたのジョー)
 しりあがり寿、MJ(みうらじゅん)そして、福本伸行(カイジ)

 当然の如く井上雄彦(バガボンド)や浦沢直樹(20世紀少年)は呼んでないわけで、かなり香ばしい画力対決が行われます。

 まずお約束なのが、美大卒の漫画家(りえぞお、MJ、しりあがり)の絵が壊滅的に下手くそなこと。これは、漫画が下手なのではなく、車とかビルとかそういうモノを描いても下手。
 美大って何を教えてるんだろう・・・。

 そして、それ以外の漫画家も、以外と自分で絵を描いていないこと。
 自分の漫画の登場人物はもちろん自分で描いているのですが、背景とかはアシスタントが描いているので、大御所になっているような人たちは、何十年も自分で絵らしい絵を描いていない。

 従って、絵が下手なりえぞおさんと似たりよったりの悲惨な作品が次々と生まれてくるのです。

 漫画家にとって、絵の上手さとは必須条件ではない。
 下手な絵でも、読者の心になにか強烈なモノが伝われば、漫画家として成功できる。

 漫画家を目指す人にとって、ある意味安心な、ある意味非常に人生迷子になりそうな教訓を身をもって示してくれています。


 先日、アメリカ在住の友人が言っていました。

「海外で働くために英語は上手くなくてよい気がします。
 英語のハンディを補うだけのスキルのほうが重要だと思います。」
 
 まさにその通り。
 最低限言いたいことを伝えることが出来、言っていることを8割方理解し、英語の会話に恐れず、わからないことは聞き返す。
 このレベルまで出来ていれば、海外との仕事は何とかなります。

 私は、コレが出来てない状態でもやってましたが・・・。まるでしりあがり寿の漫画のように・・・。

 これは、漫画家も同じで、必ずしも絵が上手くなくても良い。
 伝えたいモノを持っているか、それを表現できるかがポイント。
 画力は表現の一手段に過ぎません。

 この様な気持ちがサイバラ先生にもあるのでしょう。
 ゲストに対する突っ込みは、絵の下手くそさよりも、ゲストの人生に対するモノが多いです。
 まさに、人生対決。

 やなせたかしのとうふの「とうふちゃん」とか森の「もりくん」など、ギネスブックにも却下されたなめたキャラ作りから、戦争体験を踏まえてのアンパンマンの「ぼくの顔を食べなよ」の話など、笑いと涙の振れ幅の大きさ。この料理の上手さはさすがサイバラ先生です。

 しかし、そこに最強の男が立ちはだかった。

 カイジの福本伸行

 デッサンが狂っているというより、頭が狂っているというあの絵。
 因果関係が狂っているというより、頭が狂っているというあのストーリー。
 作者の頭だけではなく、読者の頭まで狂ってくるあの演出。

 彼が描いた絵は、サイバラ先生の突っ込みすら狂わせた。

 福本伸行画「キティちゃん」

P1150303.jpg

 まさに圧倒的。
 これは、絵を突っ込まざるをえない。
 しかも、突っ込みどころが多すぎて、どこから突っ込んでいいかわからない。

 この様な神の領域に達した人間。常人では永遠に到達できない天上人もいるということも思い知らせてくれる。コレもまた人生。
 まさに、タイトルの通り「人生画力対決」でした。


 なお、この本の、最後のオチ。福本伸行画「あしたのジョー」は凄まじいです。


西原理恵子の人生画力対決 1 (コミックス単行本)西原理恵子の人生画力対決 1 (コミックス単行本)
(2010/03/17)
西原 理恵子

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毎日かあさん 6 うろうろドサ編毎日かあさん 6 うろうろドサ編
(2010/02/26)
西原 理恵子

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 と、いうわけで自殺島です。

自殺島 1 (ジェッツコミックス)自殺島 1 (ジェッツコミックス)
(2009/08/28)
森 恒二

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 この不気味な絵を描く漫画家、森恒二。 前作「ホーリーランド」という作品では、
「引きこもりの少年が、家でシャドーボクシングを続けてたら、異常に強くなってしまい、路上の喧嘩で最強になってしまう」
 という恐ろしい話を書いていたのですが、本作ではさらにとんでもないことになってしまいました。

 主人公は、何度も自殺してるのですが、助けられちゃった人。
 病院で安楽死を申し出るのですが、気がついたら・・・無人島にいました・・・。
 しかも、同じような自殺志願者と一緒に。。

 ここから「15少年漂流記」的な展開になるのか、「バトルロワイヤル」的な展開になるのか・・・。

 大筋は、前者なのですが、それ以上に強調されているのは、「なぜ生きるのか?」ということでした。

「生きる意味」を失った連中が主人公なので、当然と言えば当然なのですが、「生と死」が非常に強調された漫画なのです。

 島で目覚めた連中は、数日中に半分くらい自殺してしまうのですが、半分くらいは、必死で生きる手段を探し出します。

 川を探し、野菜を探し、魚を捕り・・・。

 その中で見つけるのが、自分の存在意義なのです。

 多くの魚を捕ることは、一人では出来ません。

 魚がたくさんいるポイントを探し、船のようなモノを作り、島で見つけた網を修理し、網をしかけ、数名で魚を網で追い込む。
 それぞれが、自分の役割に責任を持ち、作業を遂行することで、今日の食事を得ることができるのです。


 彼らが生きていた(ほぼ)現代の日本において、彼らには役割がほとんどありませんでした。
 会社では、役立たずとののしられて、いてもいなくても会社の売上は変わらない。
 それでも、給料は入るので飯は食える。

 ニートに至っては、何もせず、自分でも何もしていない自覚があり、それでも飯は食えている。

 役割がないのに、食えているから必死になることも出来ない。
 そのうち、必死になる方法すら忘れてしう。

人間の欲求には5段階あると言われています。

1 生理的欲求(食欲とか睡眠欲とか)
2 安全の欲求
3 所属と愛の欲求
4 承認の欲求
5 自己実現の欲求

日本では、何もしなくても1-2は満たされているので、欲求かどうかも曖昧になっています。
 そして、3-5に関しては、一部の人には得ることが難しくなっています。

 と、いうのも、1や2を得るために必要な作業がすごく減っているので、全員が一生懸命働かなくても得ることが出来るからです。

 たぶん、日本人の1/3くらいが働けば、全国民の1-2の欲求は満たされるでしょう。
 だから、それを提供する組織である会社には所属出来る人が少なくなる。
 さらに、その中でほめられる人は少なくなる。

 豊かになることで、3や4の欲求が満たされなくなるわけです。

 逆に、無人島に行ってしまえば、1,2の欲求が満たされるだけで満足感が多大になり、それを得るために、必然的に組織、役割が出来、3,4が満たされるわけです。

「途上国の活気」もこれが非常に大きいのでしょう。

 と、いうわけで、前回の「もりぞお世界一周紀行」最終回で、日本は一度貧乏になった方が幸せになれるというようなことを書いたのです。

 しかし、その上にあるのが、5 自己実現の欲求

 日本が豊かなままで幸せになるためには、これを育てるしかない訳です。

「自分は自分。そして、自分がしたいことはコレだ。」
 これが明確かつ揺るぎないものになれば、どんな状況でもポジティブになれる。

 キューバとか、「人生を楽しむ」っていう価値や、「キューバはキューバ」って価値が揺るぎないからあんなに楽しそうなんだろうな。。。

 2巻現在、主人公は、「自分が生きるために、動物を殺すこと」に対して真剣に向き合っています。
 この様な経験が積み重なることによって、「自分は何のために生きるのか」という事を見いだし、自己実現の欲求が満たされて行くのでしょうか?

 そのプロセスを、これからの日本人の歩んでいくプロセスと重ねてみていくと・・非常に楽しみです。

自殺島 1 (ジェッツコミックス)自殺島 1 (ジェッツコミックス)
(2009/08/28)
森 恒二

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自殺島 2 (ジェッツコミックス)自殺島 2 (ジェッツコミックス)
(2010/01/29)
森 恒二

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ホーリーランド (1) (Jets comics (846))ホーリーランド (1) (Jets comics (846))
(2001/06)
森 恒二

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 先週より新しくなった、著者近景の画像。

似顔絵


 これは、漫画家の佐藤秀峰さんに描いていただいたものです。

 佐藤秀峰といえば、「ブラックジャックによろしく」
 この作品はまさに完結寸前の状態です。(昨日twitterで、最後の原稿が描き上がったと言ってました)

 なぜ私が彼に似顔絵を描いてもらえたかというと、彼が今漫画を掲載している「漫画onWeb」というサイトの企画で、「毎日一名に似顔絵をプレゼント」というものに当選したからです。

 私は、彼の作品が大好きで、以前より愛読しており、「漫画onWeb」も設立当初から見ており、twitterもつぶやき始めた初日からフォローしてます。
 で、しつこく何度も応募してたら、こうやって描いてくれたわけです。

 ちなみに、このサイトで彼の単行本を買うと、全てに直筆のイラストとサインを入れてくれます。

P1190031.jpg

 このサインが欲しくて買ったのが、ブラックジャックによろしくでも一番好きな、ガン医療編です。

ブラックジャックによろしく(7) (モーニングKC (917))ブラックジャックによろしく(7) (モーニングKC (917))
(2003/11/19)
佐藤 秀峰

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 ブラックジャックによろしくでは、日本の医療界が抱えている矛盾を、研修医の目線から認識し、その状況下で、医者が、患者がどうやって生きていくか、死んでいくかを、非情なまでに克明に描いていきます。

 ガン医療編で描かれるのは、「日本では、世界中で使われている抗がん剤が使えない」という問題です。

 日本の厚生労働省は、薬を認定する際に独自の基準を持っており、たとえ他の国で使われている薬でも、日本国にで使う前に一から検査をやり直し、何年もたってからやっと許可を下ろすのです。

 これは、検査基準を下げると厚生労働省の仕事(=権力)がなくなることや、日本の医薬品メーカーとの癒着などが理由であると想像されます。

 また、海外から薬を輸入することも出来るのですが、病院でその薬を使うとなると、健康保険の適用外となります。
 薬代だけが適用外になるのではなく、入院費用も含めた全ての医療費が適用外となるため、月の負担は100万円単位となり、これを続けることによって、残される家族の家を売るような事態にも発展していきます。(これは現在改善されています)

 この様な矛盾に真正面から切り込んでいく様は、実は作者の生き様そのものでもあります。

 先ほど、漫画onWebの話をしましたが、このサイトは作者が大手出版社を使わないで漫画を発表する作ったモノです。

 現在多く出版社の利益がガンガン落ちており、雑誌がバンバン廃刊になっていますが、漫画週刊誌もまたしかりです。
 次々と減っていく漫画雑誌。しかも、その漫画雑誌の原稿料は元々非常に少なく、アシスタント代などをさっ引くと、原稿料よりも経費の方が高くなるという状態です。

 売れている漫画なら、単行本の印税で黒字になるのですが、メジャー誌以外の雑誌では実は単行本が発行される漫画の方が少ない状態であり、「連載をすればするほど貧乏になる」という悲惨な状況に置かれている漫画家が多数居るのです。

 そのくせ、大手出版社の社員は30歳で余裕の年収1000万越え。

 大手出版社から発行される漫画雑誌というビジネスモデルが立ちゆかなくなっている今、なにか新しい漫画の発信方法を作らないと・・・ということで、自ら立ち上げたのが漫画onWebなのです。

 この中で、ブラックジャックによろしくは、一話10円で読めます。(新作は30円)
 この値段は、ブックオフの値段を念頭においているそうなのですが・・・安い。。
 ちょっと安すぎて心配になる価格ではあります。ただ、本人は漫画の売り上げもあがっており、出版社経由ではこなかった類の仕事も増えたということで、金銭的にも成功している状態だそうです。
 出版社や漫画雑誌の未来は暗くても、「漫画」という文化や「漫画家」という職業は必ずしも暗いわけではないのです。

 この様に、彼の主張は必ず改善策を出し、未来に希望を見せてくれます。

 このガン医療編。
 主役は、膵臓がんを患ったお母さんなのですが、彼女はガンに犯されながらも素晴らしい生き様を晒してくれます。

 また、ガン病棟での辛い記憶を持つ医師二人も、それぞれのポリシーを持ち、迷いながら、悩みながら、時に「医者とは何か」、時に「生きるとは何か」という所まで突き詰めながら、新しい道を探していきます。

 このクライマックスに当たる8巻の後半の美しさは、人生観を揺さぶられるような、衝撃的な印象を与えてくれます。
 
 彼女が、死を目前にして、家族に伝えたその言葉、そして家族の心に残したたくさんの物事は、二人の医師の心を揺さぶり、新しい一歩を踏み出すきっかけを与えました。

 これと同じように、作者が漫画にかける思いは、「漫画雑誌と出版社以外のルートから漫画を発表できる機会を作らねばならない」という使命を自らに課し、ついにそれを達成してしまいました。

 正直、PCで漫画を長時間読むことには違和感があるのですが、今月中にiPad対応になったらこの点は解消されるはずです。

iPadがやってきた! 予想以上に便利なメカ。読書だけでなくWebブラウジングもPC以上


 そして、iPadのような電子書籍端末が普及するにつれ、この流れは加速していくことでしょう。

 ビジネスとしては早すぎるものであるにもかかわらず、突撃していく行動力。
 そして、その行動を突き動かす、漫画への愛。

 間違っていることを間違っているといい、さらにその改善策を自ら切り開いていくこの人の作品を、私はずっと読み続けていきたいと思うし、きっと素晴らしい描き続けてくれると思っています。
 
ブラックジャックによろしく(5) (モーニングKC (884))ブラックジャックによろしく(5) (モーニングKC (884))
(2003/04/17)
佐藤 秀峰

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ブラックジャックによろしく (6) (モーニングKC)ブラックジャックによろしく (6) (モーニングKC)
(2003/07/23)
佐藤 秀峰

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ブラックジャックによろしく(7) (モーニングKC (917))ブラックジャックによろしく(7) (モーニングKC (917))
(2003/11/19)
佐藤 秀峰

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ブラックジャックによろしく (8) (モーニングKC)ブラックジャックによろしく (8) (モーニングKC)
(2004/02/23)
佐藤 秀峰

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 前回、エヴァンゲリオンが10年の年を経て、全てのキャラクターと物語がポジティブに変わったという話をしました。

ヱヴァンゲリヲン新劇場版 序&破 日常の小さな変化が生み出した、非日常の大きな一歩

 その原因の一つに、総監督である庵野秀明の結婚生活があるだろうと。
 と、いうわけで、今回はカントク君こと庵野秀明のヨメ、漫画家の安野モヨコについて書いてみます。

 この人の代表作と言えば、働きマンなのですが、

働きマン(1) (モーニングKC (999))働きマン(1) (モーニングKC (999))
(2004/11/22)
安野 モヨコ

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 カントク君を語る上で外せないのが、変態的結婚生活をセキララに描いた漫画、監督不行届です。

監督不行届 (Feelコミックス)監督不行届 (Feelコミックス)
(2005/02/08)
安野 モヨコ

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 肉も魚も食べられないで、お菓子ばっかり食べているカントク君
 ほおっておくと、洋服はほとんど着替えず、洗濯が出来ないので汚れた服はそのまま捨てるなど、完全に社会生活が出来ない生物です。

 齢40を越えても仮面ライダーごっこを繰り返し、アルマーニの服を買いに行ったら、試着室でウルトラマンのポーズ。
 完全な変態です。

 そんな、日本オタク四天王のひとりに、自らの秘められたオタク性を紡ぎ出される安野モヨコの姿がまた面白い。
 
 ほのぼののなかにほんの少しの狂気が混じった傑作漫画です。

 そして、この漫画を見ていると、この変態カントク君を温かく見守り、受け入れ、お宅の外の世界に連れ出した安野モヨコが、エヴァを変えたのだと考えさせられます。

 しかし、この本のあとがき。
 カントク君が安野モヨコついて語っている文章を見ると、それだけではないことが分かります。

 嫁さんは巷ではすごく気丈な女性というイメージが大きいと思いますが、本当のうちの嫁さんは、ものすごく繊細で脆く弱い女性なんですよ。
 つらい過去の呪縛と常に向き合わなきゃいけないし、家族を養わなきゃいけない現実から逃げ出すことも出来なかった。ゆえに「強さ」という鎧を心の表層にまとわなければならなかっただけなんです。

 心の中心では、孤独感や疎外感と戦いながら、毎日ギリギリのところで精神のバランスを取ってると感じます。だからこそ、自分の持てる仕事以外の時間はすべて嫁さんに費やしたい。そのために結婚もしたし、全力で守りたいですね、この先もずっとです。ー庵野秀明


 安野モヨコの漫画の主人公には切迫感がつきまといます。
 恋愛に関する切迫感がそのままタイトルになっているハッピーマニア、

ハッピー・マニア 1 (祥伝社コミック文庫)ハッピー・マニア 1 (祥伝社コミック文庫)
(2001/05/25)
安野 モヨコ

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 仕事に対する切迫感がそのままタイトルになっている働きマン。

働きマン(4) (モーニングKC)働きマン(4) (モーニングKC)
(2007/08/23)
安野 モヨコ

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 急いでもいないのに、電車が出発しそうになっているのを見ると、全力で走って車両に飛び乗ってしまう様な人を描いた漫画が、彼女の真骨頂です。

 エヴァンゲリオンの自分の殻に閉じこもった、心に傷を持った人が庵野秀明の一部であるように、何かに追い立てられて必死に生きている人が安野モヨコの一部なのでしょう。

 そして、その登場人物たちの感情は、作者にシンクロします。

 現在安野モヨコは体調不良により、働きマンの連載を中断しています。
 単行本には収録されていませんが、働きマンは今、主人公が不倫の泥沼に転落しているところで話が終わっています。

 彼女の体調不良と、感情的に堕ちて行っている働きマンに関係はあるのでしょうか?

 そして、ヱヴァンゲリヲン新劇場版は、主人公がヒロインを死の淵から救い出すところで終わっています。

「僕がどうなったっていい。世界がどうなったっていい。
 だけど綾波は、せめて綾波は、絶対に助ける!!」


 どこか深いところに落ちてしまった安野モヨコを救い出すカントク君。
 
 ヱヴァンゲリヲン新劇場版 破のラストの闘いは、カントク君が今挑戦していることそのものなのではないかと感じているわけです。

 遠い世界からサルベージされ、働きマンは帰ってくるのか!?

 ヱヴァンゲリヲン新劇場版Qと同様、帰ってきた働きマンにも期待をしています。

監督不行届 (Feelコミックス)監督不行届 (Feelコミックス)
(2005/02/08)
安野 モヨコ

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働きマン(3) (モーニングKC (1550))働きマン(3) (モーニングKC (1550))
(2006/10/06)
安野 モヨコ

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働きマン(2) (モーニングKC (1453))働きマン(2) (モーニングKC (1453))
(2005/07/22)
安野 モヨコ

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ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破 EVANGELION:2.22 YOU CAN (NOT) ADVANCE.【通常版】 [Blu-ray]ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破 EVANGELION:2.22 YOU CAN (NOT) ADVANCE.【通常版】 [Blu-ray]
(2010/05/26)
林原めぐみ緒方恵美

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「閉塞感」

 今、日本の現状を一言で例えると、一番多くの人が国にする言葉ではないでしょうか?

 国の中を見れば、老人が増えて子供が減って、小売売上高が減って失業率が増えて、国の債務残高が増えて年金の納付率が減っている。

 国の外を見れば、怖いアメリカ人とか、生意気な韓国人とか、野蛮な中国人とか、何者なのか想像もつかないインド人とかが、知らない言葉で襲い掛かってくる。

 しかし、そんな日本よりもさらに、閉塞感に苛まれまくっている世界が舞台の漫画があります。

進撃の巨人(1) (少年マガジンKC)進撃の巨人(1) (少年マガジンKC)
(2010/03/17)
諫山 創

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 この漫画の舞台では、身長15mもある巨人が無数に生息しています。
 この巨人は全裸で、知能は低く、人間を食べること以外の生態はよく分かっていません。
 たちの悪い事に、大砲で頭をふっ飛ばしても1分で再生するくらい生命力が強く、まだ核兵器やクラスター爆弾はもちろん、自動車すら持っていない人類はなすすべがありません。

 そこで、高さ50mを超える高い壁を作り、その中に街を作り、細々と暮らしているわけです。

 自分たちの作った壁の中でしか生活できない閉塞感。
 自分たちが弱いから外に出る事が出来ないと心の底から理解しているが故の閉塞感。


 そんな中で100年も暮らしていると、閉塞していることに疑問を感じなくなり、少数の変わり者以外は、壁の外に出てみようという気力すらなくしてしまいます。
 そこに、規格外のでかさの巨人が現れて、壁をぶっ壊すところから物語は始まります。

 経済知識がない人にとって、リーマンショックとか、サブプライムローン問題とか、経済のグローバル化とか、そういったものはまるでこの漫画の巨人の様に見えているのでしょう。

 なんだかよく分からないけど、自分たちを襲って、喰らい尽くす、恐怖の存在。

 そして、自分たちは無力であり、支配されている存在で、なすすべなく殺されるかもしれないという恐怖に襲われるのです。

 この漫画の中で、恐怖に立ち向かう人間がたくさん出てきます。
 圧倒的に脆弱でありながら、必死に考え、巨人の弱点を探し、出来る限りの技術を集めて装備を作り、訓練を重ねてそれを使いこなす。

 そうやって、鍛え抜かれた戦士たちは、壁の外に出て調査を行ない、壁の中に侵入してきた巨人と戦い・・・大半が巨人に喰らい尽くされます。

 強いものが弱いものを食べるだけの、シンプルな世界。

 そのシンプルさを、21世紀の日本で、思いっきり具現化したところに、この作者のセンスを感じます。

 その時、人類は何をするのか?どんな行動をとるのか?状況を打開できるのか?何をすべきなのか?

 現在、まだ2巻しか出ていないのですが、この時点でそのヒントが少し出ています。

 若い人間の感情と、知恵と、才能。
 これが、絶望的な状況を切り開く武器となりうる。

 物語の中で、巨人の正体はどんなものか、全く明らかになっていません。
 もしかしたら、単なる神の試練か気まぐれなのかもしれませんし、人類が自ら生み出してしまった悪魔なのかもしれません。

 エヴァンゲリオンの使徒のような「殲滅しなくてはならない敵」なのかもしれませんし、ヒックとドラゴンのドラゴンのような「いつか分かりあえる生物」なのかもしれません。

 しかし、なんだかよく分からないものに立ち向かわなくてはならない事は確かです。
 村上春樹の1Q84ではこのなんだかよく分からないものは、人間が自分たちで作り上げたシステムであり、それは人々の日常にすり込まれているものとして描かれていました。

 進撃の巨人では、これがそのまんま「巨人」という形で具現化し、有無を言わさず襲ってくるものとして描かれています。

 よくわかんないけど、自分たちでは絶対勝てなさそうなものに、どうやって挑んで行けばいいのか?

 いろいろな困難を背負って生きている2010年の日本人。
 そんな中、リアルタイムで続きを読んでいきたい作品です。

 そして、この連載が終わるころ、日本はどうなっているのでしょうか?

 なすすべなく巨人に食い荒らされて、もっと小さな壁の中で暮らしているようなことがないように、現実を直視しながら生きていきたいと思います。

進撃の巨人(1) (少年マガジンKC)進撃の巨人(1) (少年マガジンKC)
(2010/03/17)
諫山 創

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進撃の巨人(2) (少年マガジンコミックス)進撃の巨人(2) (少年マガジンコミックス)
(2010/07/16)
諫山 創

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左側にある、私の似顔絵を描いてくれた佐藤秀峰という漫画家さん。
 以前紹介した「ブラックジャックによろしく」のような社会派漫画を描いている方です。
 そして、彼は「もう、紙の漫画雑誌は終わってる・・。」ってことで、漫画の配信サイト「漫画onWeb」を立ち上げました。

 彼の全ての漫画が旧作1話10円、新作1話30円で、PCやiPad,iPhoneなどで読める便利なサイトで、さらに、誰でも格安(システム管理料金のみ)で出品出来るサイトです。

 彼自身は、このサイトの売上および、この配信が話題になった事による仕事量の増加(出版社を通さないで仕事を受けると利益率が高いのです)により、なかなか潤っているようです。

 しかし、ここに出展している人たちの利益にはあまり繋がっていないようで・・。

 と、いうわけ(かどうかは分かりませんが)、彼は代表作である「海猿」「ブラックジャックによろしく」全話を無料で公開しました。


 と、いうわけで、今回は「海猿」について書いてみようと思います。

「海猿」は、海上保安庁の職員のお話です。
 主人公は、当初航海士だったのですが、ある事件を機に自身の限界を感じ、潜水士を目指します。
 船の上からの救出よりも、海の中にダイビングして救出。
 それは、主人公により深い危険を課すものであり、物語に幅を与えるものでもあります。

 以前紹介した、「岳」でも言ったことですが、山岳救助でも海難救助でも、当然の如く、人がバンバン死にます。

「海猿」と「岳」、この両作品で素晴らしいのは、その「人が死んでしまう」ということに、真っ正面から向かい合っていることです。

「岳」では、主人公は無事に助かった人にも、明らかに自らの過失で遭難した人にも、死んでしまった人にも、「よく頑張った」と声をかけます。

「海猿」では、絶望的な状況でも、「これからの「正義」の話をしよう」に出てくる「1人が犠牲になれば、残りの全員が助かる」という状況でも、「全員助ける」という信念の元に主人公は動いていきます。

 どちらの主人公も、合理的ではないのですが、危機的状況の中で、救助される人は、その非合理的な考えに救われることが多いはずです。
 ってか、山岳救助とかクルーズとかの救助の場合、「遭難が恐いなら、そんなことするな!」で片付けられてしまうわけですから。

 海猿では、さらにもう一つの「非合理」が現れます。
 それは、「救助する側の思惑」です。

 尖閣諸島問題のように、隣国の船が日本の領海に入ってくることは、日常茶飯事とは言わないまでも、毎年何件もあることです。(私も海上保安庁の人に聞いたことがあります)

 その進入してきた船に対して、穏便にお帰り願うか、事を荒立てて政治問題にするかは、政治的な判断が入ってくるわけです。

 パソコンのモニタや、紙に印刷された資料を元に合理的(だと願いたい)に判断された結果は、現場の人間にとって、時に非合理極まりない結果になります。

 相手がまだ何もしていないのに、威嚇射撃をすること。
 その威嚇射撃によって、現場の人間は罪のない(微罪はあるけど)人を殺してしまうかもしれないのです。

 無謀に特攻してくる漁船の船長を逮捕すること。
 彼らが銃を持っているかもしれず、自らの生命の危機があったにもかかわらず、即座になすすべなく解放されてしまうかもしれないのです。

 やってらんね┐( ´Д`)┌ と、動画をYoutubeにアップする気持ちもわからなくもありません。

 でも、そこを一歩踏ん張って、自らの職務を愚直にこなしていくことに、物語のロマンを感じるのも事実です。
 非合理であることを分かりつつも、自分の目の前にいる人の事を考えて、行動をすることはやはり美しいです。

 そして、目の前の事件が片付いた後に、よりよくするためにはどう行動すればいいのか、改めて合理的に考えればいいのです。

 作者の佐藤秀峰も、海猿やブラックジャックによろしくのなかで、編集部に勝手に台詞を書き換えられたり、原稿料が異様に安かったり、印税の支払われ方が理不尽だったりという、出版界の悪しき伝統に悩まされていました。

 その中で、出版社と交渉を続け、自らの意見を主張すると共に、クオリティの高い漫画をアシスタントの雇用を守りながら、粛々と続けてきました。

 そして、もうこれはあかん。やってらんね。となったところで、「出版社を通さないで漫画を発表する場」を自ら作り上げるという合理的な判断に至ったわけです。

 現場ではきっちり仕事をする。しかし、間違っていることはきちんと心に留めておく。そして、機を見て自らその間違いを正す、建設的な行動に移す。

「海猿」や「ブラックジャックによろしく」の主人公のような行動を、実社会でも自ら実行するこの人は本当にスゴイと思うし、応援していきたいです。

「海猿」「ブラックジャックによろしく」は、とりあえず2010年12月末まで無料公開中のようですので、是非ご一読をお勧めします。PCでもものすごくスムーズに見れますが、iPadで見ると、最高です。

 次回、この勢いで映画版「the last message 海猿」観に行ってきます。
 踊る大捜査線3ばりの非合理的に酷い映画だともっぱらの噂なので楽しみです。

海猿 (1) (小学館文庫 (さI-1))海猿 (1) (小学館文庫 (さI-1))
(2006/04)
佐藤 秀峰小森 陽一

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ブラックジャックによろしく(1) (モーニングKC (825))ブラックジャックによろしく(1) (モーニングKC (825))
(2002/06/19)
佐藤 秀峰

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岳 (1) (ビッグコミックス)岳 (1) (ビッグコミックス)
(2005/04/26)
石塚 真一

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これからの「正義」の話をしよう――いまを生き延びるための哲学これからの「正義」の話をしよう――いまを生き延びるための哲学
(2010/05/22)
マイケル・サンデルMichael J. Sandel

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そのテーマの重さと、下手でキモい絵柄から話題騒然の漫画「進撃の巨人」

進撃の巨人(1) (少年マガジンKC)進撃の巨人(1) (少年マガジンKC)
(2010/03/17)
諫山 創

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私もそのブームに乗っかった一人であり、1-2巻を読んだところで、ひとつ記事を書きました。
進撃の巨人 圧倒的な強者から逃げるために、自分で作った壁の中だけで生きることの閉塞感

巨人から身を守るために壁の中で暮らす人類。
彼らの感じる閉塞感を、現代日本の閉塞感になぞらえたわけです。

そして、日本にも3月11日に、50m超大型巨人級の災害が訪れました。
今、4巻まで進んだ物語から見えるものを改めて書いてみたいと思います。

進撃の巨人(4) (少年マガジンコミックス)進撃の巨人(4) (少年マガジンコミックス)
(2011/04/08)
諫山 創

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4巻で語られる物語の中で、重要なシーンが3つあります。
ひとつは、主人公が精神世界の中で、自分がなぜ巨人と戦い外の世界を見たいかを考えるシーン。

「この壁の外のずっと遠くには、炎の水や、氷の大地、砂の雪原が広がっている」
「どうして外の世界に行きたいと思ったの?」
「決ってんだろ、オレがこの世に生まれてきたからだ!!」

 彼の気持ちは私にはよく分かります。
 実際に仕事を辞めて炎の水や、氷の大地砂の雪原を見に行ってきた私なので、

オレ達は皆、生まれたときから自由だ
それを拒むものがどれだけ強くても関係ない
どれだけ世界が残酷でも、関係ない
戦え!

 という言葉に共感します。
 履歴書の職務経歴に一年の空白がある人間に、転職回数が無駄に多い人間に、どれだけ日本企業の採用担当者の評価が残酷でも、関係ねえ!

 しかし、現実問題そこまで割り切れる人間は少ないと思います。
 育ってきた環境も違うし、守らなければならない人や物の数も違いすぎます。

 この巨人に囲まれた世界でも同じような問題が生じます。

 若者は、兵士として国に雇われるわけですが、対巨人用の武器を使いこなす術を熟知した人間は、階級が上がり、国の中心を守る役目に回ることになる。
 つまり、対巨人用の戦闘技術を身につければ身につけるほど、巨人から離れて暮らせるようになる問題。
 
 多くの人間は、自由を求めているけれども、それ以上に自分や、自分の家族の安全を求めている。それ故に、全体にとって最適ではないと分かっていながら、自分の手の届く範囲の経済合理性に則って行動をしてしまう。

 水や食べ物の買い占め、福嶋の人に対する放射能を恐れる差別。

 世の中の多くの人たちは、信念のために命とか安全とかを捨てることは出来ず、自分のすぐ周りにいる人を守ることに手一杯。
 たとえ、国に対して全体最適的な文句を言っても、自ら自己犠牲的に行動することは出来ない。
 それは、恥ずべき事ではなく、多くの人間の普通の行動だと思います。

 そう。人間は、基本的に弱いんです。
 本能のおもむくまま、何も考えずに人を喰らう事だけを続ける巨人よりも。

 しかし、主人公たち一度地獄を見た「強い」人間以外の兵士達。「弱い」兵士達にも転機が訪れます。
 
「君は強い人ではないから、弱い人の気持ちがよく理解できる。
 それでいて現状を正しく認識することに長けているから、今、何をするべきかが明確にわかるだろ?
 大半の人間は弱いといえるけどさ、それと同じ目線から放たれた指示なら
 どんなに困難であっても、切実に届くと思うんだ。

 今…何を…するべきか…

 震災直後の混乱の中、復旧の道筋を作るためには、頭が良くて、情報収集能力があって、表現力があって、多くの人に信頼されている、「強い人間」の意見が必要とされます。

 しかし、その道筋を通って復興を行うためには、「強い人」だけが進める道を作るだけでは足りません。
 
 危険を冒してでも、炎の水を見に行きたくなるような強い意志を持った人間だけではなく、自分と家族を守りながら、恐る恐る進んでいく人たちも通れる道を作らねばならないのです。

 そんなときに必要なのが、弱い人の気持ちがよく理解できて、状況判断が高い人。

 今までのマスコミでは、この様な「弱い人」の出番はありませんでした。
 しかし、blogやtwitterでは、この様な弱い人が沢山の意見を発表し、被災地での体験や思いを書き連ねています。

 そんな文章は、数多くリツイートされ、リンクを張られ、沢山の弱い人の共感を呼びます。

 少しずつ前に進むために、進撃というほど強力ではなくても、ちょっとだけ歩みを始めるために、Webによる情報発信は、多くの人の力になるんだろうなと感じる今日この頃。

 漫画の中の絶望的な世界でも、リアルなこの日本でも、同じような希望が芽生えていることに、この漫画の非凡さを感じるわけです。


進撃の巨人(1) (少年マガジンKC)進撃の巨人(1) (少年マガジンKC)
(2010/03/17)
諫山 創

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進撃の巨人(2) (少年マガジンコミックス)進撃の巨人(2) (少年マガジンコミックス)
(2010/07/16)
諫山 創

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進撃の巨人(3) (少年マガジンコミックス)進撃の巨人(3) (少年マガジンコミックス)
(2010/12/09)
諫山 創

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進撃の巨人(4) (少年マガジンコミックス)進撃の巨人(4) (少年マガジンコミックス)
(2011/04/08)
諫山 創

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「26歳で年収1800万円ってのは、全然駄目なんです!」

 世帯平均年収が約410万円の日本人から見たら「何いってやがんだ、コノヤロー!」な発言ですが、発言の主は、この漫画の主人公、プロ野球選手の凡田夏之介なのだから納得がいきます。

 年俸が10億円を超えているイチローを筆頭に、スポーツ界のスーパーエリートであるプロ野球選手が高給を取っているのは当たり前と言えば当たり前です。
 
 しかし、現実には数千万円の年俸を取っているのはほんの一握りで、プロ野球選手の最低年俸は440万円(育成枠だと240万円)。150日以上の1軍選手登録されてやっと1500万円の年俸が保証されるわけです。

 確率論から言えばプロ野球選手になるだけで、東大卒業するより難しい上に、プロ野球の現役生活は(超一流選手でもないかぎり)高卒から15年程度のもの。
 大卒から40年近く働くサラリーマンの半分以下です。

 しかも、1年で稼ぐ額が大きいと税金を沢山持って行かれるわけで、1500万円のうち数百万円は税金です。

 引退後の生活はなかなか厳しく、年収300万円といわれる解説者ですら勝ち組で、年収が100万円以下になる人も多い。
 そして、現役時代は常に、怪我即引退、不調即引退という岐路に立たされている。

 そんな、厳しすぎるプロ野球の中堅選手の生活模様が事細かに描かれているのがこの「グラゼニ」です。

グラゼニ (1)グラゼニ (1)
(2011/05/23)
森高 夕次、アダチ ケイジ 他

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 生々しい金の話を、暖かい人情話に包んで物語にしているので、それほどまでに殺伐としているわけではないのですが、やはり、同情を禁じ得ない辛さがひしひしと伝わってきます。
 家族を背負って、来年から年収100万円になるかもしれない崖っぷちで、バッターボックスに入る人生。
 そして、それを分かっていながら、明日は我が身と、全力で打者をねじ伏せなくてはならない人生。

 人が生きるということは、なにかを殺さなくてならない毎日なわけですが、顔が見えている人の人生を踏み越えていく人生はやはり、ハードです。

 主人公は語ります

「この世界は厳しすぎます。時々、本当に逃げ出したくなります。
 でも逃げ出せるわけでもありません
 だって、僕には野球しかありませんから…」

 金を稼ぐ手段がひとつしかないことのリスク。
 選択肢がないことからくる悲劇。

 これは、我々サラリーマンにも言えることです。

 この仕事しかない、この会社しかないという理由で会社にしがみつき、
 そのために過剰な労働やプレッシャーに押しつぶされている人が何人いるか?
 そして、そのために自ら命を落としている人が何人いるか?

 プロ野球よりもずっとマイルドで優しい世界であっても、厳しい状況であることは疑いようもありません。

 ただ、プロ野球選手のように、本当に超一流になるためには才能と、人生をそれ一点にかけるくらいの情熱がないと太刀打ち出来ない世界は本当に辛いです。

 そして、それほど厳しくないとはいえ、やはりいろいろなことをやっていると、一点集中の人にはかなわないサラリーマンの世界で、どのようにサバイブするかは非常に悩めるところです。

 ひとつの会社・職業に一点投資をして、人生を乗り切るべきか、
 いろんな会社・職業に分散投資をして、人生の選択肢を確保すべきか。

 私個人も悩める年頃ではあるのですが、この漫画を読んで一点投資の怖さを痛感すると、やっぱり分散投資かなあ・・と思ってしまいます。

 ひとつの事に全てをかける、アストロ球団的、あしたのジョー的な素晴らしさは分かっていながら、商いは短く持ってコツコツ当てる西原さん的な生活。

 なんか、じじくさい結論になってしまいましたが、これは分別もついて歳をとり・・の結果なんですかねえ。。
 平穏に、楽しく生きていきたいだけなんですけど。。

グラゼニ (1)グラゼニ (1)
(2011/05/23)
森高 夕次、アダチ ケイジ 他

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